千葉県・市川市の住宅で現金などが盗まれた事件をめぐり、逮捕された26歳の男。この男の指紋が、別の事件の現場からも検出されていたことがわかり、同一犯の可能性も浮上しています。
秘匿性高いアプリで複数アカウントを使用 相次ぐ緊縛強盗は同一犯か
高柳光希キャスター:
関東で相次ぐ、闇バイトを実行役とした強盗事件。
▼首都圏で相次ぐ事件
8月29日 千葉・八千代市
8月31日 神奈川・厚木市
9月3日 神奈川・鎌倉市
9月4日~5日 神奈川・座間市
9月10日 東京・練馬区(監禁致傷)
9月18日 さいたま市
9月28日 東京・練馬区
9月30日 東京・国分寺市
10月1日 埼玉・所沢市
10月16日 千葉・白井市
10月16日 横浜市
10月17日 千葉・市川市
今回相次いで起きている事件では、実行役との連絡に指示役が秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」を使っていたことがわかりました。
また、「SASUKE」や「ルキア」など30以上のアカウント名を使い、指示をしていたということから、同一犯の可能性も浮上しています。
千葉県・市川市の事件について詳しく見ていきます。
10月17日午前7時ごろ、夜勤の仕事から帰宅した女性が、家が荒らされていたということで通報をしました。
具体的には、1階の窓ガラスが割られ、財布から現金が盗まれ、金庫も荒らされていたということです。
捜査関係者によると、室内にはハンマーや粘着テープなどが残されていたということです。
ただこの事件、他の関東で昨年から起きている強盗事件とは異なるケースもあります。
“住人を連れ去る”今までにないケース 財産の在処聞き出した可能性
それは、車が奪われた点です。ルフィなどが関わっていた過去の強盗事件では、金品などを中心に奪われていましたが、なぜ車が奪われたのか。元埼玉県警捜査一課の刑事・佐々木成三さんにお話を伺いました。
佐々木さんによると、「防犯カメラに映るリスクから普通は盗まないが、実行犯らは逃走用に盗んだのではないか」さらには「次の犯行に使うことも想定していたかもしれない」ということでした。
これまで現場への移動などはレンタカーなどが使われていましたが、今回は闇バイトで雇われた素人の強盗のため、足がつきやすい行動をしてしまった可能性もあります。
これまでにないケースはほかにもあります。市川市の住宅に住む50歳女性が犯人に暴行を加えられた上、連れ去られています。
ただこの女性は17日夜、約50キロほど離れた埼玉県川越市の宿泊施設で保護されました。命に別状はありませんでした。その女性は、「粘着テープのようなもので全身を縛られ、車に乗せられた」と話しています。
日比麻音子キャスター:
連れ去るということはこれまでなかったと思いますが、一体なぜだったのでしょうか?
TBS報道局 警視庁クラブキャップ 加賀千草 記者:
今回の市川市の事件では、50歳の女性が在宅していたときに、実行役グループが押し入った可能性があります。
こうした状況の中で、現金の在処などを聞き出すときに、おそらく住宅にあるものでは足らなかったのかもしれません。他の資産、例えば銀行口座にある現金などの資産、暗証番号、在処などを聞き出すために緊縛をして、身動きを取れない状況にするといった手荒な真似をして連れ去ったという可能性もあると思います。
あともう一つは、女性がお母様と一緒に住んでいたことも分かっていますので、急いで連れ去ってしまおうという、かなり短絡的な犯行だった可能性もあります。
日比キャスター:
佐々木さんからの指摘にあったように、あまりにも荒い犯行ですが、素人の手口であると見ていいのでしょうか?
TBS報道局 警視庁クラブキャップ 加賀千草 記者:
住宅内には血痕やガムテープが残っていたことがわかっています。ここからも分かるように、かなりスピード感を持って、急いで女性から聞き出そうとしたけれども、おそらく聞き出せず、そのまま連れ去って聞き出そうと連れ去った可能性も大いにあると思います。
市川の事件で1人が出頭 警視庁は合同捜査本部を立ち上げ
高柳キャスター:
近隣の方からも非常に怖いというような声も聞かれていましたこの事件ですけれども、進展がありました。
住人の50歳の女性を監禁の疑いで17日、現行犯逮捕されたのは藤井柊容疑者(26)です。そして18日未明、神奈川県警・都筑警察署に男が出頭しまして、事件への関与をほのめかしているということです。
日比キャスター:
いわゆる実行役の逮捕となっていますけれども、指示役はまだ逮捕できていないという状況ですよね。
TBS報道局 警視庁クラブキャップ 加賀千草 記者:
18日午後1時半に警視庁本部で合同捜査本部の設置の会見が行われました。ここで刑事部長が合同捜査本部を組んで、上役いわゆる指示役まで一掃するのであるという強いメッセージを発信しました。これは犯行グループを一網打尽にするのであるというメッセージもあって、今後本格的な捜査に乗り出すものとみられます。
日比キャスター:
都や県をまたいでの合同捜査本部ということになりましたけれども、指示役の特定が難航していると見ていいのでしょうか?
TBS報道局 警視庁クラブキャップ 加賀千草 記者:
警視庁の中には捜査支援分析センター「SSBC」という専門部隊があります。こちらは約140人以上の捜査員を抱えている専門部隊なんですけれども、「情報支援」部門には防犯カメラの映像や、通信機器の分析をする部門があります。
今回の犯行で明らかになっている「シグナル」といった匿名性のあるアプリは通信履歴などをすぐに消せるようになっているんですけれども、こういったものを復元したり、解析をしたりします。
実行役だけではなくて、その上役・指示役がどのように指示を出しているのか。また、何人いるのかという状況もまだわかっていません。
私たちの取材ですと、30個ぐらいのアカウントが今のところ判明しているんですけれども、ただ一つのアカウントを複数の人数で指示役が使いまわしてる可能性もあります。今のところそういった指示役グループに何人というのは、これから捜査にそこに切り込むという状況です。
相次ぐ事件に防犯対策は?
高柳キャスター:
私たちはどういった対策をすれば良いのか、佐々木さんに伺いました。
まずは、電話で訪問販売を装って個人情報を探るケースもあります。ですから、録音機能付きの電話を用意しておくことが対策として有効とされています。
さらには、個人情報などが悟られないように洗濯物で窓を覆うようにして一人暮らしだとわからないようにすること。あるいは一人暮らしであっても玄関先にスリッパを複数置いておくことで、一人暮らしと悟られないようにすることも効果的です。
また、地域との連携も強化することを意識をしてください。誰かが訪ねてきた際に「あそこの家は一人暮らしだからね」といった情報もなるべく流さないように、地域で連携をして、個人情報を守るように心がける必要があります。
日比キャスター:
実行役が犯罪をしたということも絶対に許すことはできませんが、ただ闇バイトであると、現地に行くまでわからなかったというケースもありますよね。
今後このような事件に加担しないために、どのように気をつけたらいいのでしょうか?
TBS報道局 警視庁クラブキャップ 加賀千草 記者:
闇バイトといっても、私たちの捜査幹部への取材では、いわゆるホワイト案件、ただの何かを運搬するバイトだと装い、闇バイトとはわからない状況で募集をしているという側面が見られます。
本人としても、強盗をやりたいと思って加担しているわけでもなくて、ただ現場に行った瞬間にバールを渡されたり、「もうお前の個人情報は得られているんだから、もうこれはやるしかないのだ」と脅されたりしながら実行役がいつの間にか加担させられている。
こういった状況になる前に、「ちょっとおかしいな」「これは闇バイトの可能性がある」と思ったらすぐに通報するなど、しっかりと周りの捜査機関に相談するなどしていただきたいと思います。
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<プロフィール>
加賀千草
TBS報道局 警視庁クラブキャップ
捜査現場を約8年にわたって取材
芸能人をめぐる薬物事件や弱者を標的とした詐欺事件など担当
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