27日に迫った衆議院選挙の争点は裏金問題だけではありません。厳しさを増す「外交や安全保障」を踏まえ、北海道は「対ロシア」という大きな課題を抱えています。

総理就任後、初めて道内入りした石破総理。

アジア版NATO構想、日米地位協定の改定など「防衛オタク」としても知られ18日は、歯切れよく安全保障の持論を展開しました。

石破茂総理
「中国、ロシアの領空侵犯、領海侵犯がしょっちゅう起こっている。日本を取り巻く安全保障環境はかつてないほど厳しい。そういうときに私達はもっと自衛隊の体制を強くしていかなければならない」

おととしのロシアによるウクライナ侵攻以降、一変した日本とロシアの関係。

 道内では、先月、ロシア軍の哨戒機が礼文島沖で3回領空侵犯。

 自衛隊機が初めてフレアを使って警告したほか、8月には北方領土の貝殻島にロシア国旗が掲げられるなど、緊張状態が続いています。

今、大きな課題は停滞する北方領土問題です。

根室市に住む角鹿泰司さん、87歳。歯舞群島の勇留島の元島民で、長年、返還運動に取り組んできました。

 勇留島元島民 角鹿泰司さん(87)
「もう50年、来年で50年ですよ私49年目ですよ運動してから。状況は一つも変わっていない」

 8歳の時、ロシア軍から逃れ家族と根室に移住した角鹿さん。島を脱出する時、持ち出せたのはカメラ好きの兄が撮った写真だけでした。

勇留島元島民 角鹿泰司さん(87)
「私がいた島というのは、ものすごい尊いもの。私らよりも父親や母親たちが築き上げてきた財産を放り投げてこなければならない厳しさというのは大変なものと思っている」

 亡くなった家族のためにこれまで返還運動を続けてきましたが、ふるさとを訪ねる貴重な機会だった北方領土へのビザなし交流もウクライナ侵攻で実施が見送られ、今は船の上から故郷を眺めることしかできません。

 勇留島元島民 角鹿泰司さん(87)
「元島民というのは生きているのはもう少ないですが、生まれたところかもしれないし、父親がいて自分もいて、ここで遊んだ、どうしたというのが全部よみがえってくるんですよ。足を踏んでその思いを持ってもらうにはわずかな時間しかない」

 北方領土の元島民は5057人。終戦時の29.2パーセントまで減り、平均年齢も89歳と高齢化が進んでいます。

角鹿さんは、政治家一人一人が領土問題に自覚を持って欲しいと訴えます。

勇留島元島民 角鹿泰司さん(87)
「野党与党問わず、国会議員が今ロシアと日本の置かれている北方領土問題がどうなんだとよく論議をしてもらって、ロシアに立ち向かう」

政治は、課題山積の外交問題を解決できるのか。元島民に残された時間は多くありません。

 こちらは各政党が掲げている外交・安全保障に関する公約です。

■「外交・安全保障」各政党の主な公約
《自民》北方領土・竹島など領土を守り抜く
《立憲》専守防衛・日米同盟軸の安全保障
《維新》日米同盟の一層の深化を図る
《公明》積極的な対話と平和外交を強化
《共産》ASEANと協力した対話と協力の外交
《国民》アメリカ依存の防衛体制を見直す
《れ新》アメリカ追従の外交政策を見直す
《社民》ロシアのウクライナ侵攻など即時停戦求める
《参政》外国資本による国内の土地取得の規制強化

北方領土や対ロシア戦略に関する記述は乏しく、日米同盟のあり方に関連する公約が多くなっています。

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