石川県能登地方を襲った記録的豪雨で、輪島市と珠洲市では仮設住宅が床上まで浸水し、修繕工事のため住民が避難を余儀なくされています。このうち珠洲市の仮設住宅について、住民は当初、1か月余りにわたって避難を求められる見通しでしたが、石川県が工事を見直した結果、2~3日程度に大幅に短縮されることになりました。
西村一枝さん(84)
「ここ閉まっとったけど、どこかこの辺からも入ったんかね。ふぁーっと浮いてきた」
珠洲市の上戸小学校横の仮設住宅に1人で暮らす、西村一枝さん(84)。この団地では、9月21日の豪雨で33棟の仮設住宅のうち17棟で床上およそ5センチの高さまで浸水しました。
床をはがして泥を撤去するため、石川県は入居者におよそ40日間、仮設住宅を明け渡すよう求めていましたが、西村さんらは住民が離れ離れになることを懸念していました。
西村さん
「やっぱりここね、みなんさん住みたいのよ。私と一緒やと思う。1人ポツンとどっか行くの不安なの」
珠洲市などは入居者の避難先について、市営住宅などが満室のため、市外への避難も含めて検討を重ねていました。
仮設住宅に入居する男性
「住むところも無い、物を入れるところもない、仮設住宅も浸水した。物を移動しろと、その場所もない。なんでこんな目に遭わないといけないのか」
退去期間「40日」→「2~3日」に大幅短縮 なぜ?
石川県は16日夜に開いた2度目の住民説明会で、床下浸水した部屋については、健康への影響が少ないとして、泥を撤去する工事を見送ると発表。
さらに床上浸水した部屋も、床や壁の張替えを行うものの、部屋ごとに工事を行うように調整した結果、住民が仮設住宅を離れる期間を当初の40日ほどから、2~3日程度に短縮できることになりました。
避難先も近くに入浴施設のある珠洲焼資料館や、仮設住宅に近い上戸保育所に決まりました。
仮設住宅に入居する男性
「安心した。市の方とか役所の方もだいぶ色々やってもらって助かった」
入居者どうしでバラバラになることを不安に感じていた西村さん。行政の決定に安堵の表情を浮かべました。
西村さん
「何人かの人と保育所で泊めてもらえるようにしました。友達と一緒に行けたからよかった。ありがとう」
輪島市は一斉に退去 県「個別の工事難しい」
9月の豪雨では、珠洲市上戸町のほか、輪島市でも5か所の仮設住宅が床上浸水し、すでに500人を超える住民が輪島市内の避難所や七尾市の宿泊施設などに避難しています。
珠洲市と輪島市で対応が異なる点について石川県は、より被害が大きい輪島市ではキッチンや風呂・トイレなども総入れ替えが必要で、工事車両の出入りで住民に危険が及ぶおそれがあるとして、珠洲市のような個別の工事は難しいとしています。
珠洲市は11月半ばまでに、輪島市でも年内には工事が完了する予定です。
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