14日に開業した「長崎スタジアムシティ」の建設地で、建設中に被爆当時あった捕虜収容所のレンガ積みの基礎などが見つかっていました。

見つかっていたのは爆心地からおよそ1.7キロ、当時三菱長崎造船所幸町工場の敷地内にあった「福岡俘虜収容所第14分所」のレンガ積みの基礎の一部です。

スタジアムシティの建設工事が行われていた2022年4月、長崎市の文化財課と被爆継承課の職員が市民団体からの情報を元に現地を視察し確認しました。

文化財課によりますと、敷地北東部では時代不明のコンクリートやレンガ、埋設管などが戦後のごみなどと一緒にかく乱した状態で見つかり、南東部では地表から80センチの場所に高さ110センチのレンガの構造物が、さらに下には高さ40センチのコンクリートの構造物が見つかり、これが被爆時にあった俘虜収容所の基礎の一部と確認されたということです。

しかし文化財課は「地域における産業史等を明らかにできる情報が包含しているとは認められない」として埋蔵文化財としての取り扱いはしないと判断。

被爆継承課は90年代の調査で「滅失した被爆建造物」は保存対象としないことを取り決め、俘虜収容所はそれに該当すると当時判断したとしており、今回の調査で残存状況が局所的なことや被爆の痕跡がなかったことから、当時市長にも報告した結果「保存対象に当たらないことを改めて確認した」として市民に公表しなかったということです。

ジャパネット側にも当時「保存すべき被爆遺構はない」と伝えており、ジャパネットでは「市からの通知で把握したが残存状況が限定的なため行政基準上保存の対象とならないことを確認した。埋設物は再利用及び廃棄物として適切に処理した」としています。

長崎原爆戦災誌によりますと、「福岡俘虜収容所第14分所」には被爆当時約400人の捕虜が収容されていて、60人~80人が亡くなったとされています。

髙田旭人社長の考えは?

遺構の出土について、ジャパネットホールディングス代表取締役社長兼CEOの髙田旭人氏は会見で以下のように述べています。

ジャパネットホールディングス 髙田旭人代表取締役社長兼CEO:
「被爆遺構の話は当時私も聞いていた」
「我々の立場としてはなかなか判断できないのが正直な所。最終的には市の判断に従ったことになる」

「平和はすごく表現が難しいし、何をもって平和活動とするか人それぞれ。我々が考える平和はスポーツを通して『今の瞬間を楽しむ』ことであって、この場所で皆さんが生きる楽しみを作ることが、我々の考える平和に対してできることだと思っている」

「スタジアムシティプロジェクトが始まった時に、長崎である以上、何か資料館のようなものを中に作るべきではないかという議論は社内であった。しかし既に平和の歴史を残すような、語り継いでくれる施設が長崎市にはあって、今から新しいものを作るよりはここにたくさんの人に来て頂いて、そこに行きやすい環境を作ることの方がトータルではプラスではないかという判断で、そういう施設は入れていない」

「被爆遺構に関してもここに作るというよりは、たくさんの人が来て今を楽しんで生きて、合間に学びを既存の施設と連携取りながらやっていく方がベストだと思っている」

「ここに来る方はスポーツ、音楽を楽しみに来る。その中に戦争の悲惨さを思い出すものを展示することがバランスとしていいのか、すごく悩んだ。実際に広いスペースを取って展示すべきじゃないか、私も最初そう思っていた。ただ、ここでは今これからを楽しみ、宿泊する中で回りを見る、そういう形で平和を考えてもらう方がバランスがいいのかと思う」

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