〈国民スポーツ大会 陸上成年男子100メートル決勝 14日 佐賀〉
陸上男子短距離で今季から青森県所属となった大上直起(24=青森県競技力向上対策本部)が成年男子100メートル種目では県勢初の優勝を飾った。
今季最終戦で悲願の日本一となった。成年男子100メートルでの優勝は県勢初のおまけつき。大上は「9割苦しいシーズンだった。1試合ですべてが報われた」。青森県を背負って迎えた社会人1年目を最高の形で締めくくった。
会心のレース
会心のレースを再現した。「自分の中の会心のレースだった。予選からの動きを修正できた」。前日13日の準決勝は向かい風0・4メートルの中で、10秒16。昨年マークした自己記録に0秒01に迫るセカンドベストで駆け抜けた。迎えた14日の決勝。「決勝は準決勝の走りを再現するだけ」。日本代表も経験した山本匠真や鈴木涼太が決勝に名を連ねたが、信じたのは自分の走り。号砲で勢いよくスタートすると、0・3メートルの追い風を背に加速。そのままフィニッシュまで駆け抜けた。タイムは10秒22。2位山本を0秒02差で振り切った。
高校時代まで全国大会の出場経験なし
岩手県出身。小学5年で競技を始めたものの、高校時代までは全国大会すら出場経験がなかった。当時の自己記録は11秒05。才能が開花したのは仙台大だった。着実に練習を重ね、大学院2年だった昨年タイムを10秒15まで更新。去年7月には南部記念を制するなど一躍、全国に名前を轟かせた。
今季から青森県所属
そして今年。2026年の国民スポーツ大会を控える青森県に所属を移した。社会人として給料をもらいながら走る責任を感じながらの1年だった。「最初は不安と焦りがあったシーズン。案の定、夏までは結果が残せなかった」。6月の日本選手権は準決勝敗退。思うように結果は残せなかったが、歩みを止めることはなかった。
この先の目標は
来年9月には東京で世界選手権が開催される。出場権の獲得はさまざまな要素が絡むが、1つの目標として標準記録(10秒00)の突破をめざす。大上は「今回つかんだいい手応えを体に染みつけたい。来年は10秒0台を出す」。新天地で飛躍を続ける24歳が見据える目標は、まだ先にある。
県競技力向上対策本部に所属
◆大上直起(おおかみ・なおき)2000年1月17日、岩手県出身。小学5年で競技を開始。久慈東高校-仙台大-仙台大大学院。現在は青森県競技力向上対策本部に所属。173センチ、76キロ。
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