富山市を流れる神通川流域で発生した公害病「イタイイタイ病」。その被害者団体が原因企業である神岡鉱業へ53回目となる立ち入り調査に臨みました。ことしは、1970年代から2000年代まで鉱石を採掘していた現場が、初めて報道陣に公開されました。
この調査は、イタイイタイ病の被害地域でつくる「神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会」と原因企業側が結んだ「公害防止協定」のもとで、年に1度行われていて、ほかの公害病の発生地域ではみられない独自の取り組みです。
ことしは、神通川流域の住民や、弁護士、学識者など63人が参加しました。
イタイイタイ病は、神通川上流にある神岡鉱山から、カドミウムを含む汚染水が流されたことが原因の公害病です。カドミウムが原因で神通川流域の住民は重い腎臓障害を患い、骨がもろくなって骨折を繰り返す苦しみのなかで死んでいきました。
これまでに富山県が認定した患者は累計で201人ですが、2024年8月、唯一の生存患者が亡くなり患者の認定制度が始まってから初めて、生存者がゼロとなりました。
そうした中で行われた今回の調査では、1976年から2005年まで亜鉛や鉛を採掘していた神岡鉱山の露天掘りの跡地が報道陣にはじめて公開されました。
露天掘りとは、坑道を掘らずに地下に向かって掘る採掘方法です。
跡地はむき出しのままだと雨水が浸透し、汚染水の発生につながる可能性があるため、神岡鉱業は草や木を植え土地の保水力を高める「植栽」などの活動を行っていて、跡地およそ19ヘクタールのうちこれまでに、15ヘクタール程度で作業を終えたということです。
その後に会場を移して行われた質疑応答では、住民側から今後は対面で協議する時間をより増やすよう求める意見が出されました。
住民側の参加者
「文書のやりとり、それにだって労力がかかってます。そういうことではなくて対面で、文書には表れない、声の強弱だったりイントネーションだったり表情だったり、そういったことを含めてやり取りする機会をもっといただけないか」
神岡鉱業の担当者
「事案が出てくるタイミングで、我々の方が伺って意見交換をさせていただくなど、そういった対応を考えたいと思います」
意見交換を終え被害者団体の代表は…
神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会・
江添良作代表理事
「ともに目標に向って進んでいくと、これがきょう確認できたということが大きな成果ではないかと思っております」
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