「ミカン王国」愛媛から。温暖化を逆手に取り、ある果物が栽培されています。

ミカン産地として知られる愛媛県。ここ宇和島市で20年ほど前から栽培されているかんきつがあります。

「こちらがブラッドオレンジ。地中海原産です」

ブラッドオレンジです。タロッコとモロという2つの品種があり、今はまだ青い状態ですが、2月から3月の収穫時期を迎えると、その名の通り果肉が赤く染まります。

濃厚な甘味とほどよい酸味が特徴のブラッドオレンジは、地中海沿岸が原産で、宇和島市では年間およそ500トンが生産されています。

愛媛で作られるようになったわけを、栽培を後押しした県に聞いてみると…

愛媛県みかん研究所 上田造晶さん
「宇和島市の平均気温が南イタリアの気候に近づいたことから、宇和島市でもブラッドオレンジを生産できるのではないかと考え、提案した」

産地化に動き出した2007年ごろの宇和島市の年間の平均気温は17.5℃。30年前の1970年代と比べ、1.6℃上昇し、地中海の気候に近づいていたのです。

ミカン農家の児玉恵さん(58)は、先駆けてブラッドオレンジを栽培した一人です。

ミカン農家 児玉恵さん
「消費低迷と価格低迷の中で、どうしても(温州)ミカンにかわる代替の品種、単価の高いものをいろいろと模索していた」

試行錯誤を重ね、今は年間8トンを主に関東方面に出荷しています。

ミカン農家 児玉恵さん
「この暑さ、尋常じゃないでしょう。だけど、このブラッドオレンジ、暑さに強い。ガンガンのお日さまにも強いし、雨が降らなくても、乾燥にも強い」

猛暑や少雨にも強く、温州ミカンに比べ、1.5倍ほど高い値段で取引されるというブラッドオレンジ。ジュースや酒、それに菓子といった様々な加工品も登場しています。

国内最大のブラッドオレンジの産地となった宇和島市。ミカン農家たちは温暖化を逆手にとった農業経営で気候変動に向き合います。

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