大学三大駅伝のひとつ「出雲駅伝」が、あす(10月14日)に開催されます。全国的にも高いレベルにある大学しか出場できない、学生ランナーにとってはあこがれの大会に、岡山大学陸上部が史上初の出場を叶えました。

近年、躍進をとげている岡大陸上部。9月に熊本県で行われた合宿に密着し、大舞台を目指す思いを追いかけました。

国立・岡山大学 創部75年で初の大舞台「出雲駅伝」へ

先月20日、合宿地に到着した岡山大学陸上部のメンバーです。

ー合宿となると集中できる?
(部員)
「誘惑がないんで…」

岡山県から、新幹線と車でおよそ4時間。熊本県の水上村です。

適度な高地で、駅伝の強豪校・青山学院大学も合宿をしたこの場所に、岡山大学陸上部の選抜メンバーがやってきました。

ーシャツが新しくなっていますが?
(部員)
「出雲駅伝に向けてみんなで作った」
「出雲記念Tシャツ」

「全国を走るんだな、と実感がわいている」

急成長の岡山大学陸上部 なぜ?

4時間かけて合宿地の熊本に到着した岡山大学陸上部。しかし休む間もなく練習です。創部75年を誇りますが、これまで全国区の駅伝には出場経験がありませんでした。しかし、近年急成長したのです。

去年11月に、出雲駅伝の予選会となる「中国四国学生駅伝」で準優勝。史上初の出場権を勝ち取りました。

岡大強化の中心にいたのは、4年生の石鍋颯一さんです。彼が岡山大学陸上部に吹き込んだものがありました。

(石鍋颯一選手)
「青トレですね」

「青トレ」とはいったい。。。?

元・青学陸上部の石鍋さん(歯学部4年)が取り入れた「青トレ」

石鍋さんは、2022年まで青山学院大学陸上部に4年間在籍していました。その後、歯科医の父親の後を継ぐために、岡山大学歯学部に編入しました。

編入した岡山大学でも陸上部に入部。練習を見て気付いたことがあったと言います。

(石鍋颯一選手)
「岡大の陸上部を見学したときにみんないい走りをしていて、でもタイムを聞いたら意外とタイムが出ていない。もうちょっと練習したらみんな強くなるんじゃないかな」

岡大は、もっと強くなる。選手として入部し、青学での経験をもとに練習メニューと意識を改革。わずか2年半で全国の舞台に導いたのです。

迫る出雲駅伝本番 走れるのは部員41人中6人だけ

この熊本合宿の時、出雲駅伝までは残り20日あまり。憧れの舞台が近づく中、選手たちの間では緊張感が漂っていました。その理由は…。

(石鍋颯一選手)
「10人くらいは同じぐらいのタイムで走っている。その中から誰が走れるか」

(岩崎亮太選手)
「絶対出たい、いう気持ちはもちろんあります」

出雲の舞台に立てるのは、41人の長距離部員のうちのたった6人。タイムや練習に取り組む姿勢、すべてがメンバー選考に関わるため、日増しに緊張感が高まってきていました。

(木戸颯選手(2年))
「ギラギラぎらついている。そこに負けないように…」

チームメートと切磋琢磨、そして出雲の舞台で走り抜くために、楽しみな夕食も節制していました。

(食卓を囲む部員)
「やばいマジでお腹減りすぎている」
「お菓子や菓子パンを食べないようにしている。揚げ物も」
「揚げ物が食べられない身体になってしもうた」
「マジしんどい最近」

つかの間の団らん。ところが、ここでちょっとしたトラブルが…

(部員)
「石鍋さんたち、道を間違えたらしい」

ー石鍋くんはいまどこへ?
(部員)
「駅にメンバーを迎えに行っています」

大学の実習を終え、後から合流するメンバーを車で駅まで迎えに行ったものの、「帰り道を間違えた」という連絡が入りました。

(部員)
「だいぶ遅くなるっぽいです」
「23時10分くらいに着く予定…」
「おそ!」

医学部生は合宿中も勉強「来ないと選考にも掛かれない」

そんな中、ひとり机に向かう選手もいました。

(日名子泰明選手)
「合宿明けた次の日にいきなり試験がある。勉強合宿みたいな感じで、ちょっときついんですけど、やっぱり来ないと選考にもかかれないので…」

医学部2年の日名子泰明さん。試験を控えているものの、どうしても「出雲に出たい」と合宿に参加しました。

(日名子泰明選手)
「自分との闘いですけど、頑張っていきたい」

午後11時過ぎ。道を間違えていた残りのメンバーがやっと到着しました。

(部員)
「(間違えて)宮崎まで行った…」

勉強も頑張る それでも譲れない思い

勉強はもちろん頑張る。だけど、やっぱり走りたい。翌朝は午前5時30分に練習を開始しました。全員に、譲れない思いがあります。

(旭隼佑選手)
「最終学年なので、みんなで目標を目指して走る駅伝はこれが最後。だからこそ走りたい」

(平尾元選手)
「3年で競技を辞めようかと思っていたんですけど、出雲出場をチームが決めて、もう1年本気で頑張ってみたいと思った」

(赤澤京弥選手)
「いつもお世話になっているのは親なんで」

「大学で伸び悩んで辞めたいと思っていたときに親に相談したら、『何があるかわからないからもうちょっと続けた方がいい』と言ってくれた」

「出雲で楽しく走っている姿を見せられたら」

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