福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。今回は、ボリューム満点スタミナラーメンが人気の猪苗代町の食堂です。店の味を守りながら100年続く食堂を目指す4代目店主の挑戦を紹介します。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「中ノ沢温泉と共に歩んできた食堂だと感じています。」

こう話すのは4代目店主の西村和貴さん。去年1月に店を継ぎ、現在は3代目の父・和男さんと母・とき子さんと共に店を切り盛りしています。

中ノ沢温泉で、1937年に創業した「小西食堂」。店名の「小西」には、温泉街の食堂ならではの由来がありました。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「曾祖父が初代になるんですけど、隣の旅館「磐梯西村屋」さんから、分家になったということで、小さい西ということで、小西という屋号が付きました。」

地元の住民をはじめ、温泉街を訪れる人たちから長年親しまれる小西食堂。およそ90年にわたり訪れた人たちの胃袋と心を満たしてきました。そんな食堂に生まれ育った西村さんは、小学生の時から、店を継ぐ夢を思い描いていました。「まだまだぼくは、未熟者だな」「日本一のラーメン屋になるぞ!」

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「本当に小さい頃から運命としてちゃんと受け止めていたんだなと。」

会津若松市の高校を卒業後、白河市にある飲食店で修業し、食堂に戻った西村さん。店を切り盛りする中で3代目の父・和男さんから代々続く店の味と歴史を受け継いだといいます。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「私が逆に外に一回修行してきたので、そのやり方じゃないとか、色々言いあいながら。品質向上のための親子喧嘩がありながら頑張ってやってまいりました。」

一方、父・和男さんは。

--西村和男さん(小西食堂 3代目)「小西食堂の味をずっと伝えていってもらいたいなと。その中で、自分なりの創作でもいいし、お客様に愛してもらえる店にしてもらいたいなと思っています。」

そんな小西食堂の看板メニューの一つが、大きな鶏の唐揚げが乗った『スタミナラーメン』です。西村さんの祖母にあたる螢子さんが、西村さんが生まれた記念に考案したといいます。

人気の秘訣はニンニクなどをブレンドした秘伝のしょうゆダレ。このタレでトリ胸肉に下味をつけ、ラードで香ばしく揚げていきます。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「揚げた唐揚げとラーメンのスープが合わさり合うというんですか。唐揚げのうま味が溶けだしたラーメンと、ラーメンのスープがしみ込んだ唐揚げ、こちらの相乗効果がおいしいということで。」

現在は店の看板メニューの一つとなり、県内外からその味を求め来る人もいるといいます。

--利用客「スタミナラーメンは唐揚げが味がすごくしみ込んでいて、なおかつラーメンもすごいあっさりしているので、食べやすいなと思います。」

そして小西食堂のもう一つの名物が壁一面にずらっと並ぶ『中ノ沢こけし』です。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「注文した後のお客さんの待ち時間にでも、ちょっとでも中ノ沢温泉のものに触れていただきたいなという思いで飾っています。」

西村さんは、このことをきっかけに中ノ沢こけしに興味を持ち、いまでは100本以上をコレクションしています。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目) 「中ノ沢こけしの特徴は、目のまわりが赤いのが一番の特徴かなと思います。その目の周りが赤いところから、酔っ払った人を表現しているとよく言われるんですけど。別名『たこ坊主』と呼ばれています。」

さらに西村さんのこけし愛は加速。今年7月には、なんと世界初のこけしの自販機を店の前に設置しました。現金を入れボタンを押してみると・・・。

--記者「飲み物と同じように、自動販売機でこけしが買えました。」

このユニークな販売方法はたちまちSNSで話題となり、県内外から自販機を見に訪れる人もいるといいます。

--訪れた人「これはちょっと驚きですね、こけしまで自販機かと思って。」

コロナ禍は客足が3割減少し、いまもその影響は残っているといいますが、このこけしが、にぎわい回復にも一役買っているといいます。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「県外の方が来ていただけるようになったり、遠くで言うと外国、香港から来たお客様もいまして、もう、招き猫ならぬ『招きこけし効果』が出ています。」

西村さんはこれからも感謝の心と共に、老舗の味を未来につないで行きます。

--西村和貴さん(小西食堂 4代目)「先代が、いままで受け継いできてくれたのと同じように私も(店の)味とお客様を大事にしながら「中ノ沢こけしが100年迎えたように、この小西食堂も、100年続く食堂を目指して頑張っていきたいと思います。」

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2024年10月10日放送回より)

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