栃木県宇都宮市で、時速160キロの車に追突されて男性が死亡した事故。きょう、宇都宮地検が危険運転致死の罪に訴因変更する請求をしたことが分かりました。

けさ、宇都宮地検を訪れたのは、佐々木多恵子さんです。

夫の一匡さんは去年2月、宇都宮市の国道で時速160キロで走る乗用車に追突されて死亡。

車を運転していた石田颯汰被告(21)が過失運転致死の罪で起訴されましたが、多恵子さんはより刑が重い「危険運転」の適用を検察側に求めていました。

そして、事故から1年半以上が経ったきょう…

夫を事故で亡くした 佐々木多恵子さん
「訴因変更の請求がされたという連絡を受けました。うれしいです。ずっと長い間、待っていたことなので」

宇都宮地検はけさ、裁判所に対し、危険運転致死の罪に訴因変更する請求を実施。

請求内容などによりますと、石田被告は友人のバイク2台を追いかけて、ほかの車の通行を妨げ、法定速度60キロの道を制御困難な時速160キロを超えるスピードで走行し、一匡さんを死亡させたということです。

「過失運転」の刑の上限は懲役7年。一方、「危険運転」は懲役20年です。

午後、会見を開いた多恵子さんは…

夫を事故で亡くした 佐々木多恵子さん
「警察に遺族調書を取りに行った時、初めて162キロという数字を聞きました。その時はこの世の終わりだと。主人の無念を晴らしたい。その思いでずっと今まで活動してきました」

多恵子さんが地検側に提出した署名は、およそ7万6000筆に上ります。

夫を事故で亡くした 佐々木多恵子さん
「帰った後は、(夫に)『やっと叶ったよ』と報告したい」

「過失運転」なのか、「危険運転」なのか。こうしたケースは他でも…

今年5月に群馬県伊勢崎市で3人が死亡した事故では、運転手の男が当初、危険運転致死傷の疑いで逮捕されましたが、その後、過失運転致死傷の罪で起訴されました。

多恵子さんの代理人弁護士は、危険運転をめぐる今の法律の限界を指摘します。

多恵子さんの代理人弁護士
「1年半、捜査をやり直さないと訴因変更請求できないというのは、裏を返せば(法律の)条文の解釈が曖昧すぎる部分がある。もう少し条文を明確に書かないといけない」

遺族らは法律の見直しを望んでいます。

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