BSNニュース「ゆうなび」
今回の【記者なび】は先月末からJNNの取材団として能登半島で豪雨被害を取材した五十嵐記者の報告です。
(五十嵐)私は先月28日に能登半島に入り被災地で取材をしてきました。地震の被災地を襲った豪雨では、震災後に建てられた仮設住宅も浸水の被害を受け、住民は再び避難生活を強いられるという非常に厳しい状況にありました。
輪島市と珠洲市では、建てられたばかりの仮設団地6か所が床上浸水しました。
【記者リポート】「こちらの仮設住宅、先日 雨の被害が出ましたが、1週間たった今でも近くのフェンスに草木が絡みついています」
珠洲市 上戸町の仮設住宅に暮らす瀬戸靖子さん 84歳。
手に持っているのは、子どもたちの結婚式で撮影した写真です。
Q親戚皆さんで撮った?
【瀬戸靖子さん】「そうなんですよ。でも普通ならちょっとの泥なら取れるんですけど、これは取れない」
元日の地震で瀬戸さんの自宅は全壊。神奈川県に住む息子のもとに身を寄せたあと、4月下旬に仮設住宅に入居しました。
今は玄関近くに布団を敷いて寝泊りしています。
【瀬戸靖子さん】「残念、残念だけど、でも明るく生きていかなきゃ」
瀬戸さんが今、不安に思っていることは。
【瀬戸靖子さん】「従っていかなければいけないと」
見せてくれたのは、仮設住宅の復旧工事について書かれた案内文です。
珠洲市の担当者からは、仮設住宅の床をはがして泥を撤去するため、1か月半ほど退去する必要があると説明されたといいます。
【瀬戸靖子さん】「とにかく私たちはここを離れたくない。いろいろな物があるので、できたら動きたくないということを説明しました」
そして、先月29日。県が開いた説明会には、仮設住宅で暮らすおよそ40人の入居者が出席しました。
県は今月上旬にも復旧工事に着手したい考えを示しました。これに、入居者からは戸惑いの声があがります。
市営住宅などはすでに満室のため、市内では引っ越し先を確保できない可能性があり、入居者は市外への避難を求められることになりそうです。
【仮設住宅の入居者は】「住む所もない、物を入れる所もない、仮設住宅も浸水した。物を移動しろと、その場所もない。なんでこんな目に遭わないといけないのか」
じっと説明を聞いていた瀬戸さん。復旧工事を受け入れる決断をしました。
【瀬戸靖子さん】「仕方がないなという感じでしょうか。どこへやられるのかなという感じ」
地震で被災し、ようやく手に入れたはずの仮設住宅。被災者は、故郷を再び追われることになりそうです。
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