2022年4月、北海道知床半島沖で起きた観光船沈没事故で、「知床遊覧船」の社長桂田精一被告(61)は、運航管理者としての義務を怠って船を沈没させ、乗客乗員を死亡させた業務上過失致死の罪で、9日起訴されました。
海難事故で直接、船を操縦していない運航会社社長の刑事責任を問うのは極めて異例です。
2022年4月、知床半島沖で乗客乗員20人が死亡、乗客6人が行方不明になった「KAZUⅠ」の沈没事故。
運航会社の安全管理規程では、風速8メートル以上の恐れがある場合は出航を中止すると定めていました。
しかし「KAZUⅠ」は「風速15メートル」、「波高2メートルから2.5メートル」の予報が出される中を出航。
釧路地検は、運航管理者でもある桂田被告が、天候が荒れる可能性を予見しながら出航させたことが、沈没に至ったと判断しました。
運航管理者は、船長と連携して運航するか否かを判断する立場ですが、その桂田被告は事故直後の会見と同様の供述を繰り返しているといいます。
「知床遊覧船」社長 桂田精一 被告(2022年)
「海が荒れるようであれば、引き返す条件付き運航ということを豊田氏(船長)と打ち合わせ、当時の出港を決定した」
釧路地検は、勾留期限の9日、桂田被告を業務上過失致死の罪で起訴しました。
元裁判官 内田健太弁護士
「船長のみではなく、管理者について過失を問うのはかなりハードルが高い。船長が実際に運航判断をしていた。(桂田被告は)船長が安全に運転して『まずい』と思えば適切に引き返すと信頼。運航管理者として、運航させるべきじゃない中止命令を出すべきという事情があるか、ここを立証できるかどうかがポイントになってくる」
一方、桂田容疑者の弁護人は、裁判所に保釈請求を行うことにしています。
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