少子高齢化を背景にした後継者不足は、どの分野でも課題となっています。今月、医師会と銀行の支援で第三者から引き継がれたクリニックがオープンしました。
医師の後継者不足… 事業承継を模索する中で“マッチング”
愛媛県四国中央市土居町にある、こんどうファミリークリニック。去年閉院した旧青野医院を引き継いでリニューアルし、10月、オープンしました。
院長の近藤啓介医師(38)は四国中央市出身。県内外の病院などに勤務しながら、地元での開業を目指していたといいます。
近藤院長
「大学は徳島でしたけど、卒業してからも四国の病院で研修などをしていて、いずれ開業したい、地域で医療をしたいという気持ちがありました」
旧青野医院の院長だった青野医師は後継者がいないため、第三者の事業承継を模索していた中、近藤医師とのマッチングが実現しました。
近藤院長
「地域で医療をしたいと思っていましたけど、どこから手をつけたらいいか分からなかった。旧青野医院の青野医師から『やってみないか』と勧めていただいて道がはっきりしたというか、最初のハードルが低くなったと思うのですごくよかったと思いますし、青野医師が診ていた患者が来ていて、すごくありがたいことだなと思って診療しています」
県医師会と銀行が支援
今回の事業承継は、愛媛県医師会と愛媛銀行が2022年11月に結んだ連携協定に基づき仲介したもので、こちらのクリニックが成立第1号だということです。
愛媛銀行 法人コンサルティング室 野中実調査役
「元々は県医師会から『青野医院が閉院を検討している』と話をいただきました。愛媛銀行が持っている情報の中で近藤医師とマッチングすることになり、開業支援もさせていただきました」
建物の改装や医療機器の購入なども銀行の支援を受けたといい、近藤院長は「旧青野医院と同様、地域のかかりつけ医としての役割を担いたい」と話しています。
近藤院長
「ここでしかできない医療はあまりないと思うんですけど、ここでできることをすることで少しでも役立てると思うので、普通のクリニックですけど普通のことを丁寧にしていきたいと思っています」
老舗料亭も地元企業に承継
少子高齢化を背景に、中小の事業所を中心に後継者不足が課題となる中、事業承継は様々な業界で進められていて、今年7月には愛媛県内子町の老舗料亭が地元の企業に引き継がれました。
それは医療の分野も例外ではありません。
愛媛銀行 法人コンサルティング室 野中実調査役
「一般的な開業ではなく、第三者承継の形で開業するニーズも若干増えてきている印象は受けています。情報が全てになってくると思っているんでですけど、県医師会から情報と銀行の中での情報をいかにマッチングさせて第三者承継をより成立させていくことが大事かなと思っています」
人と人との出会いと同じように、事業承継も巡り合わせはもちろん、後を継いでほしい人、継ぎたい人の情報が、チャンスを実らせるカギとなりそうです。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。