各地で相次ぐ「逆走」。
重大事故につながるケースもあり、NEXCO東日本も高速道路での逆走事故の防止を呼びかけています。
秋の行楽シーズンで交通量が増えるこの時期、どう対策をとればよいのでしょうか。交通事故鑑定人の熊谷宗徳氏に聞きます。

“逆走”右折時に多発

◆誤って逆方向の車線に侵入
片側2車線以上の道路で右折する際に、中央分離帯の手前の車線に誤って入ってしまい逆走してしまう。

◆T字路交差点で奥の車線に気付かず右折
T字路で右折の際、中央分離帯の奥に進むべき車線があるのを見落として片側1車線だと勘違いしてしまい、誤った車線に入り逆走してしまう。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳氏:
特に2車線以上ある道路は、手前に複数車線あると交互通行と勘違いして追い越し車線側に入ってしまうことが多いですね。

恵俊彰:
思い込みということですか?

交通事故鑑定人 熊谷宗徳氏:
そうですね。中央分離帯に、逆走を防ぐためにブリンカーライトという黄色い上下に光るライトをつけたりしてるんですけど、それでもやっぱりしてしまう方はいるということですね。

熊谷氏は、秋の行楽シーズンで土地勘がない人や運転に不慣れな人が運転する機会が増えるので、逆走などを起こしてしまう可能性があると指摘しています。

高速道路での逆走「2日に1回以上」

特に気をつけたいのがスピードの出る高速道路での逆走です。
国土交通省HPによると、平均で年約200件、全国で「2日に1回以上」の頻度で逆走が発生しています。
そのうち約2割が事故に発展し、死亡事故も含まれています。

約33キロにわたる「逆走」

8月30日、80代の男性が運転する軽トラックが高速道路で約33キロに渡り逆走しました。
発生したのは、愛知・岐阜・三重を結ぶ東海環状自動車道の愛知から岐阜に向かうエリアです。
NEXCO中日本の花田氏は、
「JCTの標識は遠方の方面が表記されている。運転手は行き先が違ったと思って逆走した可能性が想像できる」
と話します。

高速道路の監視カメラの様子を見てみると、正しい車線を走行するトラックよりスピードを上げる逆走車の姿が。
NEXCO中日本によると、時速80キロ~100キロほど出していたのではないかということです。
最終的に岐阜県内で警察により確保され、愛知県警は道路交通法違反の疑いで捜査しています。
トンネル内でこの逆走車に遭遇した車のドライバーは、
「時速100キロで軽トラックが自分の車の目の前に迫ってくるような感覚だったので、もう恐怖しかないですね」
と語っています。

恵俊彰:
あんなにすれ違っているのに気付いていない?

交通事故鑑定人 熊谷宗徳氏:
はい。「対向車がなぜか正面から来た」と思っていると思います。自分はちゃんと順行していると勘違いしてますから。

“逆走車”遭遇の恐怖

逆走車は追い越し車線を走行してくることが多くなっています。
お互いの車両が時速100キロで向かい合った場合、2秒間で100m近づくことになります。
熊谷氏によると、前方に車両を確認しても、それが逆走車と認識するには300mは近づかないと難しいといいます。
お互いに100キロ出していた場合、300m近づくのにかかる時間はわずか6秒。一瞬で距離が縮まり事故に繋がる危険があります。

コメンテーター 伊藤聡子:
停まっていても避けるのは難しいですよね。それがガーッて近づいてくるわけで、しかも追い越し車線が多いということは、大体(自車が)スピードを出している状態ですよね。
そこにまたスピードを出して近づいてくるのは本当に恐ろしいです。

熊谷氏「逆走している認識がない運転手が多い」

NEXCO中日本によると、高速道路での逆走の原因の半分を占めているのが「道を間違える」ことです。

≪インターチェンジや料金所付近≫
▼目的の出口を通過してしまい入口から逆走
▼降りたい出口を通過してしまい戻ろうとして逆走
▼目的の出口を間違えてしまい戻ろうとして逆走
▼逆方面の道に入ってしまい逆走

≪SA・PA付近≫
▼SAなどの入口を出口と間違える
▼SAなどを出るときに行き先を間違え本線を逆走

年代別で見ると、65歳以上が約7割を占めています。
また、認知症疑いなど“認識のない逆走”が約3割を占めています。

交通事故鑑定人 熊谷宗徳氏:
高速道路の逆走で怖いのは運転手本人が逆走している認識がないことが多い。標識があっても、もう目に入っていないということなんですね。

恵俊彰:
対策はどうすればいいんですか?

交通事故鑑定人 熊谷宗徳氏:
もう物理的に逆走できないようにする。もうなくすにはそれしかないと思います。
出口に入れないようにする、例えばタイヤをパンクさせてしまう。これは究極ですけど、もう物理的にも逆走できないようにしてしまうことが究極の防止策となります。

逆走車に遭遇したら

逆走車の通報が入った際、高速道路の電光掲示板に「この先 逆走車あり 注意」と表示されます。

逆走車の情報があったら
▼速度を落とし車間距離をとる
▼前方を注視し、衝突を避けるように走行する

などの対策が必要です。
車間距離は必ず100m以上はあけ、逆走車は追い越し車線を走る傾向があることに留意してください。

また、もし逆走車を発見した場合、同乗者から110番通報、または料金所スタッフへ申し出るようにしてください。

(ひるおび 2024年9月25日放送より)

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