全国に広がる「子ども食堂」。
貧困家庭の子どもたちが食事を求めて集まる場所として始まったものが、近年では、地域とのつながりを生み出す場へと変化しています。
「地域のじいじ、ばあばになりたい」、そんな思いで子ども食堂を運営する米子市の夫婦を取材しました。

栄養たっぷりの料理の数々。
彩り豊かで愛情のこもったお弁当が次々と出来上がっていきます。

「こんにちはー」

米子市内の住宅街にある「ネバーランド」。
地域の子どもから大人まで多くの人が集まる「子ども食堂」です。

利用者
「シングルマザーなんですけど、時短にもなるし、栄養も取れるし、助かってます。」

月1回提供されるネバーランドのお弁当は、事前予約制で1食200円。
地域の企業や農家、個人から食材などを提供してもらい、多い時は50食以上作るといいます。

ネバーランドを切り盛りするのは、辻聡さん・洋江さん夫婦。

子ども食堂ネバーランド 辻聡 代表
「子ども食堂の一番の目的っていうのはやっぱり、確かにこの調理、食事を出すっていうことも大事なんですけど、もっと大事なのはやっぱりコミュニケーションだと思うんですよね」

2人が子ども食堂を始めたきっかけは、3男1女・4人きょうだいの子育て経験から。

子ども食堂ネバーランド 辻洋江 副代表
「お泊まり会をよくやっていたんですけど、お風呂にも入らせて、寝させて、朝ごはんも食べさせて…という活動をしてた。なので、夕飯一緒に食べるぐらいならすぐできるんじゃないかなぁっていう思いで、夕食だけというつもりで最初は取り掛かりました。」

よく子どもの友人を自宅に呼んでお泊り会をしていたという辻さん夫婦。
子育てが一段落した2017年、地域の子どもたちのために何かできないかと、この「ネバーランド」を立ち上げました。

当初は会食形式のいわゆる「子ども食堂」らしいスタイルでしたが、コロナ禍を経て、今はお弁当を渡す形に。

子ども食堂ネバーランド 辻洋江 副代表
「お弁当があると子供にだけ食べさせながら、家族のことや家事や家のことができるのですごくお弁当はいいって」

現在、全国に9000か所あまり設置されているという子ども食堂。
年々その数は増加傾向にあり、利用する人の数も増えているといいます。

ただ、近年は…

「子ども食堂は貧困世帯が利用するところ」
「自分には関係ない場所」

そんな世間のイメージから、本当に支援が必要な人も躊躇して訪れにくくなってしまうという課題もありました。

子ども食堂ネバーランド 辻洋江 副代表
「1人親さんとかそういう事は限定せず、子供は誰でもオッケーということで始めました。」

ネバーランドでは、困っている人たちがためらいなく利用できるように、地域とのつながりを作ることに重点を置いて様々な取り組みを進めてきました。

子育て中の親子を対象にしたベビーマッサージ会。孤独になりがちな産後の母親の居場所づくり、悩みの共有や親子の触れ合いを提供する場として、定期的に開催しています。

また、2020年に立ち上げたのが「フードバンク」。
食品メーカーや卸売業者、スーパー、個人などからこれまで消費しきれないと捨てられていた食品を提供してもらい、それらを必要とする人たちに広く届けています。

フードバンク利用者
「こういうのって、片親の方のためのものだったりと生活がしんどかったりっていう方のものだと思ってたんですけど、ここはネバーランドさんが全然そんなんじゃないよと。お母さんが楽をして、その楽になって浮いた時間を心も時間も余裕持って子どもと接してくれればって言う考えでやっておられるって」

子どもたちやその親と地域をつなぐネバーランド。
その支援の輪は、着実に広がり始めています。

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