多くの訪日旅行客が行き交う一般車乗降場で、白タク防止の啓発のためドライバーに声がけする警察署員(手前)

 無許可でタクシー営業する「白タク」が成田空港で問題になっている。千葉県・成田国際空港署によると、今年1~9月までに白タクを運行した疑いの摘発は3件で、昨年の2件を上回った。同署の担当者は「氷山の一角」と見ており、関係機関も啓発に力を入れている。(長屋文太)

◆啓発はしているが…

 「『白タク』での旅客運送は違法行為です!」と日本語、英語、中国語、韓国語で書かれているチラシ。2日午後、成田空港第2ターミナルの一般車乗降場で、同署署員や国土交通省千葉運輸支局、県タクシー協会の職員がドライバーに声を掛け、チラシを配った。  この日は、中国の大型連休「国慶節」の2日目。約45分間の啓発中も、ミニバンやワンボックスカーに乗り込む多くの外国人の姿が見られた。

◆運輸支局も拡大を懸念している

 千葉運輸支局の菊池雅彦支局長は、コロナ禍が落ち着いて円安によるインバウンド(訪日客)需要も高まるなか、個人で日本を訪れる外国人が増えたと指摘。「送迎する車もコロナ禍前よりも増えている。捜査権限がなく踏み込んだ調査はできていない」とした上で、水面下で白タクが広がっていると危ぶむ。  営業許可のない白ナンバー「白タク」の問題点は、客を輸送する際の安全・安心を確保できなくなる恐れがあることだ。リムジンバスやタクシーなど許可を得た車両は、定期整備をして国の安全基準を満たしている。だが、白タクにその保証はない。

◆見えない営業実態、知人の送迎とも区別つかず

 県警は9月5日、カナダ人夫婦を4月に東京都内まで自家用車で有償運送したとする道路運送法違反容疑で、中国人の男2人を逮捕した。使っていた白ナンバー車両は海外の配車アプリで手配され、料金はクレジット決済だった。こうした方法は白タク営業で広まっているとみられ、営業実態をつかみづらい。知人の送迎と区別もつきにくく、摘発しにくい。同署の大川貢弘地域交通課長は「取り締まりを強化しないといけない」と話す。

許可車両か白タクか、ナンバープレートの見分け方を旅行者向けに紹介するポケットティッシュ=いずれも成田空港第2ターミナルで

 一方、一般車両が許可を受けて客を運ぶ「日本版ライドシェア」が今年から解禁され、県内でも千葉、四街道両市で限定的に営業している。ライドシェアの車両も白ナンバーだが、車のフロントガラスに「ライドシェア」、もしくは側面に「有償運送車両」と表示する義務がある。運輸支局は、白タクとライドシェア車両の見分け方を紹介するビラを挟んだポケットティッシュも、旅行客に配った。  菊池支局長は「安心して乗れる許認可を得たタクシーやハイヤー、公共交通機関を利用してほしい」と呼びかけている。 

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