「東海道・山陽新幹線」記念すべき2024年度 50年前に何があった?
来年3月10日で、東海道・山陽新幹線は「東京-博多全通50年」を迎えます。
RSK山陽放送(1953年創業)は71年に渡る放送の歴史の中で、新幹線に関わる数多くの貴重動画を保存していて、「RSKイブニングニュース・YouTubeチャンネル」では、再生リスト「新幹線・貴重映像大集合」にてそのうち38本の動画を公開しています。
RSK山陽放送では、38回シリーズ(予定)で、その内容を画像を交えてインターネット記事として紹介していきます。
19回目は「もうこれ、ジェット機じゃん!新型500系試乗会」です。
ついに山陽新幹線にお目見え!「新型新幹線500系」
すでに2027年の引退予定が発表される新幹線「500系」。今回は、その「500系デビューほやほや」だったころのお話・第2弾です。
前回【第18回】では、川崎重工・兵庫工場での新型「500系」お披露目の模様をお伝えしましたが、今回はその「500系」がついに山陽新幹線の線路上に!試験運転の試乗会の模様です。
【画像①】を見るに、この日の試乗会の出発駅はどうやら広島だったようです。突如こんな列車が前触れもなくやってきたら、みなさん思わずカメラを向けちゃうでしょうね。
実は令和のいまでも、引退発表もあってか500系が来る岡山駅ではよく見られる光景です。
元JNNカイロ支局長が見た「500系」初顔合わせの感想は?
この日新型新幹線「500系」には、当時のRSK山陽放送報道部員で、かつてJNNカイロ(エジプト)支局長も務めた矢部記者が乗り込みました【画像②】。さぁ、その外観の感想は?
(RSK山陽放送 矢部敏美 記者・当時)
「先端の運転席車両は、傾斜部分が16m。300系のぞみよりも9m長い流線型で、どことなく『陸のコンコルド』を思わせます」
なるほど!コンコルドと来ましたか。たしかに先端がよく尖っています。
ちなみに「コンコルド」とは、英仏で1970年代に開発された超音速旅客機のことで、ある世代以上の方なら思い浮かべることが出来る、あの先っぽがとんがった飛行機。。。例えるなら新幹線「500系」のような形です(堂々巡り)。
車内のシートは「今よりも紫!」のような気がした。。。
さぁ、その500系がついに走り出しました【画像④】。車内はいったどうなっているんでしょうか?
令和のいまでも、新大阪以西では現役車両として車内の形状を確認することは出来ますが、それでも敢えてご紹介しましょう。
(矢部敏美記者)
「車内も、天井までの高さが『300系のぞみ』より26センチ低く、丸い筒を半分に切断した、いわゆるチューブ状で空気抵抗を少なくしています」
「これによって、トンネルに入るときの衝撃音を低くするなど、騒音対策にも工夫がこらされています」【画像⑤】
なるほど!先端の流線型だけでなく「丸い車体」自体も、空気抵抗・トンネルドン対策だったという訳なのですね。
ちなみに車内は、お馴染み「3+2」の1列5席シートを配置しています。【画像⑥⑦】。新車だからか、それとも当時の試験車両だからか、今よりもシートの紫色が濃く鮮やかに見えます。
ヘリコプターよりも速い!新幹線500系
その乗り心地は如何に?揺れを確かめるために、機器類一式をびっしりと詰め込んだ車両がありました【画像⑧】。
500系はこの試乗会以前にも、時速320キロを記録していたようですが、この日は営業開始後の通常速度「時速300キロ」で走行するということでした。
その時速300キロ運転の「揺れ」は?騒音は大丈夫なの?といった計測だったと思われます。
さぁ、ぐんぐんとスピードを上げていく500系。取材にも力が入っていて、その力走の模様を、上空からヘリコプターでも捉えていました【画像⑩】。
なお一般的なヘリコプターの最高時速は「250キロ」と言われていますが、それよりも新幹線500系の方が速い!果たして追いつけるのでしょうか?
カメラは「走る500系の運転席」を捉えた!
そしてカメラは、普段乗客の皆さんが見る機会はまずないであろう、運転席の内部の様子も捉えていました。うん、こんな運転席、後にも先にも見たことない!見事なまでの「弧の組み合わせ」【画像⑪】。こんな自習室があったら、永遠に勉強できそうです。
ちなみにRSK山陽放送には、当時「ミスレールウェイ」として、デビュー前の500系の運転席を見学したことのある記者がいます。あの時の衝撃を覚えているのか、インタビューをしてみると。。。
(RSK小林章子記者)
「最新の新幹線に乗車、しかも運転席に!という興奮がありました。それまでの新幹線とは一線を画すデザインで、“未来の乗り物”という印象でした」
「試乗会の案内役を務めたため、走行中に車内を歩きましたが、高速移動であるにも関わらず安定感があって、歩きやすいと思ったことを覚えています」
とのことです。なお【画像⑫】は「ミスレールウェイ」時代の小林記者。今年秋には、RSK山陽放送制作の映画「青いライオン」にも出演します。
話が相当脱線してしまいました。さぁ、気を取り直して500系のお話。。。運転席のスピードメーターが「時速300キロ」に到達しました!なおこの500系は「時速350キロ」まで計測できるようになっていました【画像⑬】。
今では体感できない「500系・時速300キロ」の乗り心地は?
当時の人たちにとってみれば、新幹線としては未知なる領域の「時速300キロ」です。新幹線での時速300キロ初体験の矢部記者の感想は?
(矢部記者)
「何となく重圧のようなものを感じます。飛行機のジェット機に乗ったときに、離陸時に感じる重圧『G』のようなものを感じます。そして体が浮き上がるような感覚あります」
この500系が時速300キロで走ると、車内での音やチューブ状の形状から醸し出される雰囲気も相まって、「ジェット機みたい!」という感想に繋がるんだろうな、と思います。
なお、今では500系は山陽新幹線の8両編成「こだま」として使われているので、この車両での「時速300キロ」はもはや体感することは出来ません。
「飛行機に勝つ」!ジェット機のような500系
この日は、小郡~新下関間の約50キロの区間を、時速300キロで8分間走行したということです。当時の世界最高速度・TGV(フランス)と並ぶスピードでした。
5年の歳月と150億円の費用をかけ、「空のライバル・航空会社に対抗する切り札」としてJR西日本が開発した500系に、関係者も大いなる期待を寄せていました。
(JR西日本 南谷 昌二郎 副社長・当時【画像⑯】)
「この300キロ運転の相手は、やっぱり飛行機ですね。また新幹線全体としては、ライバルとして『高速道路』があるんですが、この500系でかなりインパクトを持って、いけるんじゃないかと」
JR西日本は、このあと新型車両「500系」で長距離の走行実験を重ね、1997年3月の営業開始にこぎつけるのです。
次回、その「500系」の耐久試験の模様に密着します。なんと営業開始までの間に、一日2800キロの距離を走っていたということなんです。次回配信はちょっとお休みを頂いて、11月2日配信予定です。
【1回目】君は新幹線2両編成の「951形」を知っているか?
【2回目】新幹線『0系』ビュッフェにあった『速度計』覚えてる?
【3回目】君はボンネット型『特急はと』を見たことがあるか?
【4回目】新幹線100系『2階建て車両1階 めちゃめちゃ小さな窓』の正体は?
【5回目】新幹線100系『最高時速230キロ化』へ走行試験
【6回目】『青鼻』の0系新幹線が現れた なぜ青い?
【7回目】君は新幹線100系『グランドひかり』を覚えているか
【8回目】新幹線100系 当時(1990)の国内最速『277km/h』を記録!
【9回目】新幹線開業がもたらした『東京日帰り出張が可能に( ノД`)トマリタイヨー』
【10回目】覚えてる?1992年「のぞみ」登場の衝撃を 何でその名前に?
【11回目】山陽新幹線についに「300系のぞみ」が現れた!
【12回目】「300系のぞみ」とカワイイ(・∀・)/「4両編成の0系こだま」
【13回目】車内販売員も耐えた「300系のすごい揺れ」とは?
【14回目】新幹線500系の原型「WIN350」って知ってる?
【15回目】「パソコンのマウスみたいな」WIN350が現れた!
【16回目】「頭上注意!」新幹線500系の原型「WIN350」に記者が乗り込んだ
【17回目】君は「0系型ドクターイエロー」922形新幹線を覚えているか
【18回目】「ロケットみたいな新幹線」2027年引退の新幹線500系「初お披露目」
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