自民党に入党した覚えがないのに “総裁選の投票用紙” が届いていたという“幽霊党員”の男性が取材に応じました。男性の自宅には自分だけでなく、架空の家族名義でも用紙が届いていました。

インタビュー取材に応じた男性は、10年前に紹介者を通じて許可なく自民党員にされたとみられ、不可解な投票用紙が届くことに対して「気持ちが悪い…」と嫌悪感を示しました。

“自民党員”にされている男性
「何でこんなたくさん(投票用紙が)あるのかなっていうのをまず、思って、それで名前を確認していったら、自分のじゃないな、これ誰?っていうようなのがたくさんあって…」

自民党員でないにもかかわらず、総裁選の投票用紙が届いたという男性…。投票用紙は先月中旬、自民党富山県連を差出人として富山市内の自宅の郵便受けに届き、男性以外に架空の家族名義でも5人分があったと言います。

こうした不可解な投票用紙は、富山市内の住宅や会社に少なくとも77枚送られていて、その大半が、名字だけが同じで下の名前に見覚えがない、架空の家族名義であることがチューリップテレビの取材で分かっています。

6人分の党費1万4000円…誰が払っている?

“自民党員”にされている男性
「こんなになんか知らない名前で(投票用紙が)来るのちょっと気持ち悪いというか、何で俺なんだろうっていう…」

毛田千代丸アナウンサー「不審に思った感じですか」

“自民党員”にされている男性
「そうですね。そもそも僕(自民党員に)入ってないというか、そういう活動、正直してないもので。今だけじゃないんですけど、前からこういうふうにはがきが入ったり冊子みたいのが何通も入ってきたりしてたんで」

男性の自宅には数年前から自民党関連のチラシや冊子が届くようになり、総裁選の度に投票用紙も投函されていたと言います。

“自民党員”にされている男性
「(投票用紙が届いたのは)7、8年ぐらい前から。枚数的に言えば8枚とか。届いてた時もありますし、1枚、2枚じゃないですね…」

年間の党費は一般党員で4000円、家族党員で2000円です。今回の総裁選で男性の自宅に届いた投票用紙は合わせて6枚。男性本人が一般党員の場合、5人分の家族党員と合わせた年会費は1万4000円に上ります。

2014年に党員になっていることが判明…

毛田アナ「党員ではないと伺いましたが、党費を支払ったことはありますか」

“自民党員”にされている男性
「もちろんないですね。払い方もわからないですけど」

自民党に入党するには、新規入党申込書を提出する必要がありますが、中には、紹介者が本人の代わりに名前や住所を記入して手続きを済ませるケースも。誰かが、男性の許可を得ずに申込書を提出したのでしょうか。

毛田アナ「こちらが、党員になった自覚がない人に届いた投票用紙です。どういった経緯で党員になったのか、県連に確認したいと思います」

男性の分と架空の家族5人分の投票用紙、合わせて6枚を持参し、自民党富山県連に問い合わせました。

県連が、用紙に記載されていた党員番号を調べたところ、男性は10年前の2014年に党員になっていたことが判明しました。架空の家族5人も全員が党員であることが確認できましたが、入党した時期はバラバラだと伝えられました。

紹介者や誰が党費を支払っているかなどは、党員本人でないと教えられないということでした。

「正直迷惑、自民党員辞めたいんですけど」

そこで男性本人が、自民党県連に問い合わせると─。

自民党富山県連「富山市連さんというところに党員ということで登録されておりまして」

男性は富山市連に所属する党員であることが分かりました。富山市連は、旧富山市内を所管する自民党の地域支部に当たり、このエリアを地盤とする県議や市議が所属しています。

“自民党員”にされている男性
「調べるんでしょ。じゃあ誰の紹介で僕が入っているのか…。そもそも名前違うもの来てて、こんなの僕、正直迷惑っていうのもあれなんですけど、(党員を)辞めたいんですけど」

入党した際の紹介者や党費の支払いが誰かについては県連で分からず、富山市連から折り返しの連絡が来ることになりました。

毛田アナ「富山市連に所属していることが分かりました。心当たりは」

“自民党員”にされている男性
「全く。ゼロですね」

以前から自民党を応援する気持ちはあったという男性。しかし、総裁選で投票する気にはなれなかったと言います。

“自民党員”にされている男性
「こんな僕みたいな全く知らない人間が人の名前を書いて出すなんて。本来、本当に思って出してる方の思いに反したものだと僕は思ってるんです。誰かに頼まれても自分の意思じゃないものを書いて出すっていうのは当選したい方の邪魔をするような形。俺はない。こういうのは正直なしだと思っています」

男性にインタビュー取材してから2日が経過した4日夜、自民党富山市連から連絡があったということです。

事実上の総理を決める総裁選。男性はどのような経緯で党員とされたのでしょうか。

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