現行の健康保険証の新規発行を12月2日で廃止し、マイナ保険証に一本化する政府方針について、石破内閣で留任した林芳正官房長官は3日、記者会見で「方針に変更はございません」と述べた。平将明デジタル相、福岡資麿厚生労働相に続いて、従来の廃止方針を堅持していく考えを明らかにした。 9月の自民党総裁選では、石破茂新首相も、林氏も、保険証廃止の見直しに一時、言及していた。「手のひら返し」との批判の声が上がる中で、語ったこととは。(マイナ保険証取材班)

◆「終了が法令で定められており…」

林芳正官房長官=10月3日

林氏は3日午前、記者から「石破内閣として、12月の一本化を目指す方針でいいのか。あと2カ月しかない中で、どのようにしてマイナ保険証への国民の理解を得る考えか」と問われた。 林氏は、マイナ保険証で受診歴、薬剤情報を確認できる仕組みの活用を医療現場や救急搬送で進めていくことを例に挙げ、「国民の皆様にメリットがある。1人でも多くの国民の皆様にマイナ保険証をご利用いただくことが重要と考えている」と説明。 その上で、「現行の健康保険証の新規発行は本年12月2日に終了することが法令で定められており、この方針に変更はございません」と明言した。

◆石破首相、廃止前提で厚労相に対応指示

林氏は、石破氏が厚労相に就任した福岡氏に「保険証の新規発行の終了をめぐる一つ一つの不安に丁寧に対応するということが重要だ」と、現行保険証の12月廃止を前提とした指示を行ったことも語った。 ただ、国民からは今も、現行保険証の廃止への不安の声が多く聞こえてくる。 林氏自身も、9月の総裁選に出馬した際、「不安の声があるので、それを払拭して、皆さん納得の上でスムーズに移行してもらうための必要な検討をしたい」と述べていた。 この記者会見では、「不安払拭のための取り組みをしっかりと進めていく」と語り、廃止時期の見直しに言及することはなかった。

◆医療機関の7割、トラブル経験

全国保険医団体連合会(保団連)が公表したマイナ保険証に関するトラブルの最新の調査結果によると、回答した医療機関の約7割が5~8月にトラブルを経験していた。 マイナ保険証を読み取るカードリーダーの不具合などが多かった。マイナカードの電子証明書の有効期限切れによって、マイナ保険証として使えなくなっていたケースも相次いで報告された。 多くの医療機関は、現行の保険証を確認して、トラブルをしのいでいた。 こうした状況を背景に、保険証のように使える「資格確認書」での受診を希望し、マイナ保険証の利用登録解除を予定している人たちもいる。政府は10月末をめどに解除申請の受け付けを始める方針だが、開始日などの詳細は公表されていない。 

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