能登豪雨から10日。今回の能登豪雨では土砂崩れで道路が寸断し多くの集落が孤立しました。JNN取材団としてチューリップテレビから現場に向かった髙木健至記者は、豪雨発生2日目から3日間、珠洲市で孤立した集落を取材。一時、孤立した人たちは停電により通信が途絶え情報難民となった不安やひたすら救助を待つ極限の厳しさを感じていました。

記録的な大雨となった能登豪雨。今回は、石川県の輪島市や珠洲市などで20を超える河川が氾濫。

土砂崩れで道路が寸断されるなどして一時115の集落が孤立状態に陥りました。

能登半島の先端に位置しおよそ130世帯260人が暮らす珠洲市大谷町。今月24日、安否がわからなくなっていた79歳の女性がみつかりました。

この町も今回、豪雨による土砂崩れで道路が寸断され一時、孤立しました。

私たちがJNN取材団として大谷町に向かったのは今月23日でした。

髙木健至記者「道を通行できるようにするためでしょうか。行く先に作業している人の姿が見えます」「大谷までの道はわかりますか?」「わからないです…」「いってください」

コンサル会社男性「どちらにいかれるんでしょうか?」「大谷の集落に行こうとしているんですけど」「お仕事かなんかですか」「その関係で」

男性は富山の建設コンサルタント会社に勤めていて地震以降大谷町で仕事をし現地に詳しいといいます。

コンサル会社男性「どこか他につながっている道はあるんですかね」「今はそこにいくのはこれからいくしかない」

男性によりますと珠洲市の中心部から大谷に向かう道は元日の地震の影響で国道が通行止めに。今は、県道をぐるりとまわるルートしかないといいます。

男性社員「ここがね正月に動いた活断層。この段差が。この段差が正月に1月1日にずれた活断層

全長およそ7キロにわたって地盤が隆起した断層。自然の脅威をまざまざと見せつけられた私は人間の無力さ痛感しました。

男性社員「今回多分洪水で崩れた斜面ですね。下を削った」「岸なんかも」

道路状況もわからない私たちは男性と一緒に大谷町に向かいました。

髙木健至記者「道路の左側が一部、陥没しています。非常に危険な状態です」「この道路しかないんやね。そうですね」しばらく進むと男性の車が停まりました。

倒木で車が進めなくなったためここからは歩いて先の道路状況を確認しに行くことになりました。

「しばらく無理ですねここから先が今国道が通行止めになっているそこの復旧をやろうと調査とか計画しているんですけど。引き返すしかない」

男性は大谷町へ行くことを断念し帰っていきました。

これは石川県が23日午後1時半時点で発表した道路の通行止めの状況を記した地図です。

地図上では珠洲市の中心部から大谷町へ向かう道路はすべて通れなくなっていることがわかります。

私たちも一旦大谷町に行くのをあきらめ、珠洲市役所に向かうとこの日、大谷町から車できたという男性がいました。

川端さん「大谷地区どういう状況ですか」「大谷地区、外浦全体なんですけど、集落単位でいま孤立の状態です」「今私自身も大谷峠、旧道ですけども一応通れるようになりましたので」

この日までに地震で通行止めとなっていた国道の脇にある旧道が車で通れるようになったといいます。

大谷町は、依然、通信が途絶え外部と連絡がとれない状態のため男性は、災害用の衛星通信機器を取りにきました。市役所には、孤立状態に陥った大谷町の隣の町からヘリコプターで避難してきたという住民たちもいました。

「よかったですね、本当に」「よかったよかった」

珠洲市は、去年5月に発生した震度6の地震以降災害支援活動などを行う民間団体と協定を結んでいて今回の豪雨ではその民間団体がヘリコプターを出動させ能登半島先端で孤立した集落の住民を15キロ離れた珠洲市まで運んできました。

「きょうは4人です。みんな心配しとったって」

「ここが旧道とみられます」

大谷町からきたという男性に案内してもらって大谷町を目指しました。

「両脇を土砂がうめつくしています」

山道を進むことおよそ20分。ようやく海が見えてきました。

髙木健至記者「右手に海が見えますが、かなり茶色く濁っています」

およそ260人が暮らす大谷町。今回の豪雨で町を流れる「大谷川」が氾濫。付近の建物は3日経っても泥に浸かったままでした。

孤立状態は解消されましたが水道も電気もきておらず携帯電話もつながらない状態でした。

住民「娘や息子が神奈川県なんですけど、連絡がきてもつながりませんから」

避難所となった小中学校の体育館も電気が通っておらず被災者はうす暗い中で身を寄せ合っていました。

能登半島地震の時も1週間以上孤立したという大谷町。今回も一時およそ70人が避難所に詰めかけ「極限状態」の生活が続いていました。

住民「風呂も入れんし、また水は止まったし、ここ(避難所)に世話にならなしゃーない」

住民「しゃーない。こんな辺鄙なところに住んどるからしゃーない」「やっぱり生まれ故郷はいいもん。ここに死ぬまでおるわ」

石川県によりますと今回の豪雨では3つの市と町で最大115の集落が孤立しましたが、27日までに孤立状態は全て解消したということです。

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