自民党の石破新総裁はきょう、来月27日に衆議院の解散総選挙をおこなう考えを表明しました。ただ、党役員の人事をめぐっては打診を断わる議員が相次ぐなど、新政権の船出には暗雲も立ちこめています。
記者
「石破新総裁が自民党本部に入りました」
午前11時過ぎ、自民党本部に姿を見せた石破新総裁。その後、自民党の新たな執行部を発足させました。
自民党 石破茂 総裁
「自由民主党総裁として国民を信じ、勇気と真心を持って真実を語る。日本をもう一度、皆が笑顔で暮らせる安心安全な国にしていくために全身全霊を尽くして参ります」
党役員として新たに創設した最高顧問に麻生氏、副総裁に菅氏と2人の総理経験者を起用した石破氏。
党4役では、▼幹事長に与野党に太いパイプを持つ森山裕氏を、▼選挙対策委員長には「選挙の顔」として小泉元環境大臣を起用します。
自民党 小泉進次郎 選挙対策委員長
「選挙対策委員長の大事な仕事は、1人でも多くの仲間を当選させること。まずは最優先は目前に迫っている衆院選に向け、準備、そして対応に専念したい」
また、あす発足する石破内閣の全容も明らかになりました。
政権の骨格となる▼官房長官は総裁選で戦った林氏を続投させる他、▼財務大臣には加藤元官房長官を起用。▼外務大臣には総裁選で石破陣営の選対本部長を務めた岩屋元防衛大臣を登用します。
また、▼石破氏の側近の赤沢亮正衆院議員を経済再生担当大臣に、▼三原じゅん子参院議員をこども政策担当大臣に起用するなど、初入閣は13人にのぼります。
こうした中…
自民党 石破茂 総裁
「諸条件が整えば10月27日に解散総選挙を行いたい」
来月27日に衆議院の解散総選挙を行う考えを表明しました。総裁選を戦った勢いのまま、解散・総選挙に臨む考えの石破氏ですが、党内からは石破氏の船出は厳しいものになっているとの声も。一体、何があったのでしょうか。
“過去最多”9人の候補による総裁選に勝利し、新総裁に就任した石破氏。どのような新体制を築くのか、石破氏は先週…
自民党 石破茂 総裁(総裁選前 今月27日)
「(Q.石破政権誕生の場合、どういう内閣にしたいか)『総力結集内閣』というの、『オールスター内閣』という人もいるけど。それぞれの力が最大限に発揮される、そういう内閣というか、国会も党も合わせて体制にしたいなと思いますね」
「総力結集内閣」と挙党態勢での政権運営を強調していた石破氏ですが、人事で早くも壁にぶつかっています。総裁選でともに戦った高市氏は党の総務会長を、小林氏は広報本部長の打診を断ったというのです。
その理由について小林氏は…
小林鷹之氏 (周囲に対して)
「今はただ、選挙で支えてくれた仲間たちが活かされることを望んでいます」
高市氏も“自分よりも総裁選で支えてくれた仲間を処遇して欲しい”として打診を断ったと説明していますが、ある自民党のベテラン議員は…
自民・ベテラン議員
「高市さんは次は自分にチャンスがあると思ってる。『次もわたし頑張るから』って言っているよ」
“次の総裁選を見据え、高市氏と小林氏は石破政権の要職に就くのは避けたのだろう”こうした見方が党内では広がっているのです。
石破氏は距離のある麻生氏を最高顧問にあてるなど挙党体制を摸索しますが、麻生氏はこの表情。会合が終了すると、石破氏が深々と頭を下げたものの、麻生氏は軽く会釈をし会場を去りました。
石破氏が決めた閣僚人事も党内の不協和音を生んでいます。特に波紋を広げているのが、村上誠一郎氏の総務大臣への起用です。
村上氏は安倍元総理について「国賊」と発言したとされ、おととし、党の役職1年停止の処分を受けた人物です。これに、安倍派の議員を中心に党内から反発の声が上がっているのです。
自民党重鎮
「石破さんは安倍さんを国賊と呼んだ村上さんを入閣させた。この1点だけで高市さんと小林さんは人事を断って良かったよ」
早くも分裂含みとなる中、きょう、新体制発足後におこなわれる恒例の4役による就任会見の場になぜか、石破氏の姿が。そこで訴えたのは…
自民党 石破茂 総裁
「新政権はできる限り早期に国民の審判を受けることが重要であると考えており、諸条件が整えば10月27日に解散総選挙を行いたいと考えております」
関係者によると、石破氏は早ければ来月9日に衆議院を解散し、15日公示・27日投開票の日程でおこなう方針だということです。しかし、総裁選の期間中、石破氏は…
自民党 石破茂 総裁(今月17日収録)
「私は有権者の方々に判断していただける材料は、きちんと提供するのは政治の義務だと思っています」
国会での審議を通じ、国民が政権選択の判断が出来る状況を作ることが政治の責任と強調していました。衆議院の早期解散に踏み切る判断をしたことに野党は…
立憲民主党 野田佳彦 代表
「“国民に対して判断材料を提供してから信を問う”ということを言ってたはずなのに、しかもまだ内閣総理大臣になる前にもう解散の話をするってのは、私は不見識極まりないと、国会軽視だと思っています」
こうした中、石破氏は先ほど、連立を組む公明党と政権合意の文書に署名をおこないました。合意文書には「謙虚な姿勢で真摯な政権運営に努めていかなければならない」と明記。
あす召集される臨時国会で、第102代総理大臣に就任する石破氏ですが、国民の政治への信頼を回復させられるのか、その手腕が問われています。
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