世界の紛争被害者を支援する認定NPO法人でデザイナーを務める長崎市出身の小田起世和さんが、26日から地元で展示会を開きます。「デザイン」というアプローチで平和の実現を目指す小田さんの活動を取材しました。

紛争被害にあったアフリカの女性のまっすぐな瞳と力強さを感じるコピーライティング。

《貧困な状態にはある人々だけれども、弱いだけの存在ではない》

無数の金平糖は世界平和を表現するモチーフとして選びました。

認定NPO法人テラ・ルネッサンスブランディングデザイン室長 小田起世和さん(35)長崎市出身:
「どれ一つ同じものはなくて、形も違えば、大きさも違うし、色も違うし。一人一人がかけ合わさって全体としての平和っていう状態を目指していく」

制作したのは、長崎市出身の小田起世和さん。地雷や不発弾の撤去、難民や子ども兵の問題などアジアやアフリカなどで紛争被害にあった人々を支援する認定NPO法人「テラ・ルネッサンス」のデザイナーです。

クラウドファンディングで資金を集め、これまでに手がけたデザインの事例集を作成し、全国4か所で展示会も開いています。

小田さん:
「日本のNPOとかNGOにおいては活動資金が恒常的に不足をしている。そうなると一番に削られてしまうのは、広報のための予算」

これに対し小田さんの作品は、デザインに「寄付を集める力」があることを示します。寄付を呼びかけるチラシでは、どれくらいの金額でどのような人たちを支えられるかイメージさせます。

目標金額2千万円を達成した募金では、現場で奮闘するスタッフの誠意が伝わるようアフリカから届いた手紙のようなデザインで協力を求めました。

小田さん:
「このデザインとかコミュニケーションによって寄付をして頂けたとするならば、紛争被害者の方々の自立を支援することができるし、その寄付をして頂いた方自身が社会を変えていくための仲間になってくれると思うと、とてもやりがいを感じますね」

アフリカ中部に位置するブルンジ共和国。長年続いた内戦の影響で貧困生活を送る人々の生活を安定させるため地元産の蜂蜜をブランド化する事業で小田さんは現地の人とネーミングやパッケージデザインを考えました。

そこから生まれたのが「アマホロハニー」です。

小田さん:
「現地の言葉で『こんにちは』という風な言葉なんですけども、もう一つ意味があって、それは『平和』。この土地で住まう人々の共通した言葉の中には平和の願いのようなものが既に存在していた」

この活動を通して小田さんは「ハチミツと共に自分たちの平和をつくっていく」という誇りや力を感じたといいます。

小田さん:
「デザインっていうものって、自分たちの大切にしている価値観を明らかにしていく行為でもあると思うんですよね。その明らかになったものを目の当たりにして、『あ、そうそう!自分たちが大切にしたいものはこれなんだ』ってことに触れられた時、その周辺にいる人たちの内なる力というか、元々、持ってる潜在的な力をもっと引き出すことができる」

被爆三世の小田さんは、長崎工業高校時代、核兵器廃絶を求める『高校生一万人署名活動』に参加。活動のキャッチフレーズ《微力だけど無力じゃない》は、平和のために自分に何ができるかをいつも考えさせてくれました。

24日夜は、一万人署名活動の先輩や後輩が開いたトークイベントに招かれました。

平和と大学で学んだデザインが結びつき、テラルネッサンスに出会って12年。デザインを平和のために役立てることに向き合ってきました。

小田さん:
「自分にとって取り組める何か平和への関わり方があるんじゃないかなとテラ・ルネッサンスで働きながらずっと考えていました。
それが仮に地雷であったとしても、子ども兵であったとしても、難民であったとしても、その目の前の課題・テーマに取り組むことが、長崎で目指していた『平和』というものときっと地続きにあるんじゃないかなと」

小田さんは、4月末でテラルネッサンスを退職し、今後、フリーランスとして多くのNPOやNGOに、培ってきた経験や知識を拡げるチャレンジを始めます。

小田さん:
「平和のつくり方を分解していった時に、やっぱり関係性のデザイン、対話の力っていうものが必要になってくる。デザインっていう役割でもって、この長崎から発信される平和のつくり方に貢献していけると思うし、していきたいなという風に思います」

《デザインとは誰かと誰かをつなぐコミュニケーション》

小田さんはその先に平和があると信じてこれからもアプローチを続けます。

《平和のために、デザインの力を発揮したい。》

テラ・ルネッサンス小田起世和展は、26日から3日間、長崎市浜町の楽ギャラリーで開かれます。

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