インターネットの利用時間が増えることで懸念される、子どもたちの「スマホ・ゲーム依存」。依存となった子どもたちがキャンプを通して一歩を踏み出すための取り組みが開かれました。(2024年9月17日放送)
スタッフ「オフラインキャンプ2024を始めます」
9月14日から熊本県阿蘇市で開かれたのが、ゲームやスマホの持ち込み禁止で一切使うことができない1泊2日のキャンプ。参加したのは、スマホ、ゲーム依存となった小中学生と高校生です。
14歳の息子がある時から学校に通わなくなり、ゲームに依存していったという保護者が、悩みを打ち明けてくれました。
参加者の保護者「1日、長いときは起きて日常生活している以外は全部していたと思います。10時間以上してたんだろうなと」
「どうしたらいいのかが全く分からなかった。何をしてもどう対応してもうまくいかない。ゲームをやめさせる手段がわからない」
キャンプには、同じような悩みを抱えた参加者たちが変化を求めて集まりました。
コミュニケーションを楽しむ工夫
1日目に取り組んだのがリアル脱出ゲーム。ミッションを果たすためには参加者同士のコミュニケーションが必須です。
参加者「右!右向いて!行けるよー」「わかった!これ関係あるんじゃない?」
初めは緊張していたようですが、やり取りを続けるうちに打ち解けていったようです。
そして夜は焚火。焼いたマシュマロを食べ、取材陣に話しかけてくる参加者もいました。
参加者「生クリームを生で食べた感じ。食べないの?」
2日目は班に分かれてカレーを作ります。まきを割ったり野菜を切ったり、周りに作り方を聞くというコミュニケーションが目的です。
参加者「みんなで作って食べるのが、家よりもいいかな」
こうして、スマホなどは一切使わずに過ごした、1泊2日のキャンプが終わりました。
インターネット利用 「1日約5時間」に
子ども家庭庁によると18歳未満のインターネットの平均利用時間は年々増加していて、2023年度は平日で約5時間となっています。
実際に、街で子どもたちのスマホ・ゲームについて聞きました。
小学6年生「ゲームは1日5、6時間ぐらい」
――ゲームは楽しいですか?
小学6年生「うん」
保護者「ちょっとあんまり長時間は触ってほしくないですね。会話も減りますし、つまんないから」
別の保護者「結構使っていますね。これ以上ひどくなるともう少し考えないと、とは思います」
「学校での傷つき体験」が依存深める
『オフラインキャンプ』を企画した向陽台(こうようだい)病院の院長は、キャンプの目的は「オフラインでも楽しいことがあることを知ってもらう」ことだと話します。
向陽台病院には、スマホ・ゲーム依存に悩む人たちが相談に来ます。
向陽台病院 臨床心理士 辻翔太さん「ゲームがやめられないという相談は非常に増えました。学校の中で傷つき体験をしていたり、友達とうまくいかなかったり、お勉強でうまくいかなかったり、嫌な体験を沢山していると、なかなか学校という場が安全に過ごせなくなってきている」
学校が嫌になりゲームやスマホに居場所を求めることで学校から足が遠のき、さらにスマホやゲームへの依存が深まると言います。
辻さん「学校にいけないとか、授業に集中できない。昼夜逆転。それから多く見られるのが暴言。ゲームをやめさせようとする親との葛藤の末に暴力をふるってしまう」
こうした状況を変えるため、現実世界の楽しさを改めて知ってもらおうと開かれたのが今回が2回目の開催となった『オフラインキャンプ』でした。
参加者「アニメが見たいなと思うことはあったけど、部屋で話すことも楽しかったので、ゲームとかやりたいと思う気持ちは少なかったですね」
保護者にとっても、有意義な2日間になったようです。
保護者「家族だけでは解決できないところ、外から踏みにくいところに一歩踏み込んでくれている感じがします」
子どもたちの「また参加したい」という声を受け、病院側は、来年の開催も検討するということです。
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