突然ですが「を」←この仮名、何と読みますか?愛媛出身の記者は、子どものころからずっと「wo」と読んでいました。が、取材を進めていくと驚くことばかり…。果たして正しい発音は何なのでしょうか?

「を」←何と読みますか?

まず、愛媛県松山市内で、街の人に「を」を何と読んでいるのか聞いてみました。

愛媛出身
「『wo』。わをんの『wo』」
愛媛出身(小学1年)
「『wo』」
愛媛出身(母親)
「『wo』。お風呂場のあいうえお表で覚えた感じですね」

wo、wo、wo…。愛媛出身者は、インタビューした人全員が「wo」と読んでいました。

引き続き、聞いていくと…

東京出身
「『o』。『わをん』の『o』です。『お』は『あいうえお』の『o』、『を』は『わをん』の『o』。そういうふうに小学校で習いました」

他にも、広島や大分出身の学生も「o」と読んでいました。

では一体、「を」はどう発音するのが正解なのか?愛媛大学で長年、日本語学について研究をしてきた佐藤栄作名誉教授(66)に聞きました。

昔は「wo」だった!

愛媛大学 佐藤栄作名誉教授
「昔『wo』と発音していたことは、日本語の歴史の上からは間違いないんです。昔は『a・i・u・e・o』の『お』は『o』、『wa・wi・wu・we・wo』の『を』は『wo』だった」

佐藤名誉教授によると「を」は「お」と違う文字として生まれたため発音も違っており、たしかに「を」=「wo」と発音していたとのこと。

国が定める「を」の発音は…

しかし、今は、と言うと…

愛媛大学 佐藤栄作名誉教授
「『を』を『wo』と発音するなんて、小学校の教科書にも書いていませんからね」

文化庁のHPより

1986年、内閣告示の現代仮名遣いでは、助詞の「を」は「を」と書くと記されています。同様に、助詞の「は」は「は」と書く助詞の「へ」は「へ」と書く、と記載されています。

つまり「わいうえを」の「を」が「wo」と発音するのだったら、「あいうえお」の「お」とは発音が異なるため、このように示す必要さえもないということ。

すなわち、国は「を」の発音は「o」である、と定めているのです。

「を」の発音、歴史はさかのぼること平安時代

なぜ「wo」と発音していたのを「o」と読むようになったのか。

佐藤名誉教授によると、もともと「お」と「を」は異なる発音でしたが、西暦1000年ごろ=平安時代後期には、どちらも「wo」と発音していた可能性が高いといいます。

しかし江戸時代後期ごろから、あ行の「お」も、わ行の「を」も、どちらも「o」と発音するようになったといいます。

愛媛は「o」に変化するトレンドに乗り遅れた…?

では、なぜ愛媛は今も「wo」と発音しているのか。

愛媛大学 佐藤栄作名誉教授
「おそらくですよ、これは証拠がなかなか難しいんですけど、先生から教わってお母さんも学校で教わって、お母さんから子どもに、というところで続いたんじゃないかと」

佐藤名誉教授は、「wo」がすべて「o」に変化しないうちに近代教育での現代仮名遣いの学習が始まり、「を(o)」が「wo」で引き継がれたことなどが考えられるとしています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。