保育所で男の子が給食のリンゴをのどに詰まらせ意識不明となった事故。男の子は意識不明のまま、2024年8月に2歳を迎えました。この家族が看護をする中で直面した課題と、事故を受けての率直な思いに迫ります。

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リンゴをのどに詰まらせ意識不明に

田村康至(こうし)くん、2歳。

脳に大きなダメージを受けていて、父親の敦(あつし)さんと母親の早希(さき)さんが、たんの吸引など24時間付きっきりで看護を続けています。

康至くんの人生が大きく変わったのは、生後8か月の時の事故でした。

去年5月、入園して間もない新居浜上部のぞみ保育園で、康至くんは給食で出た生のリンゴをのどに詰まらせます。40分以上心肺停止状態になり、心肺は蘇生したものの意識不明の重体となりました。

当時、保育園では「リンゴを提供する場合は加熱する」とした国のガイドラインは守られていませんでした。

康至くんの母・早希さん
「悔しい思いとか悲しい思いもありますけど、この子にしてあげられることを一番に考えていけばいいかなって私の中では思っているので、園に対してどうのこうのっていうことは、今はそんなに思ってないかな」

「家族と過ごす時間を大切にしたい」両親は在宅での看護を選択

225日間の入院生活を経て、康至くんは去年12月に退院。現在は訪問サービスなどを活用し自宅で暮らしています。

康至くんのように、たんの吸引など医療的なケアが日常的に必要な子どもは「医療的ケア児」と呼ばれ、全国で推計約2万人、愛媛県内でも200人ほどいると見られています。

家族で過ごす時間を大切にしたいと、在宅での看護を選んだ康至くんの両親。しかし、現在の生活に落ち着くまで大変なことも多かったと振り返ります。

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「人工呼吸器が必要な幼児を扱った経験がない」訪問サービスを探すも全て断られ…

その1つが、訪問サービスの業者探しです。

父・敦さん
「訪問リハビリや訪問看護の業者さんを探すのにすごく苦労したので…」

病院を通して24時間態勢で介護などに対応できる訪問サービスを愛媛県の東予地区で探したものの、全ての業者に断られたといいます。「人工呼吸器が必要な幼児を扱った経験がない」というのが、その理由でした。

しかし、夜間の看護を家族で担うなど条件を変え、4か月ほどかけてようやく見つかったのが、今利用している2つの業者でした。

父・敦さん
「退院する前から病院に会いに来ていただいたりとかして。やはり年を重ねるたびに体の状態が悪くなる可能性がかなり大きくなるので、しっかり見させてくださいという形で見てくださっているので、ものすごく助かっていますし感謝でしかないですね」

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親が息抜きできる場所を― 医療的ケア児の家族たちの交流の場

家族で過ごす時間が確保できたとしても、全ての不安が解消されるわけではありません。

9月5日、愛媛県新居浜市内で、ある交流会が開かれました。そこには母・早希さんの姿も。主催したのは、医療的ケア児の家族たちがこの春設立したNPO法人「NiCO」です。

「NiCO」の代表理事、小野真理さんは、高校1年生の次女が、生まれながらにして重い障がいがあります。

NPO法人NiCO代表 小野真理さん
親が作るからこそ良い支援が受けられるようにできたらなと。家族はしんどいってことにも気づかなかったり、息抜きが実際できていなかったりっていうところもあるので、こういった場を作って、お母さんたちが息抜きができる場所になればいいなと思っています」

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