総裁選の得票数で3位となった小泉進次郎議員。一時は、“次の総理にふさわしい人”1位でした。失速の原因は何だったのでしょうか?

■小泉氏の党員票は61票…高市氏の109票には遠く及ばず

先週末、JNNの単独インタビューにこたえた小泉進次郎氏。

小泉進次郎 元環境大臣
「仮に私が総理総裁になったら、0歳児そして4歳、乳幼児を持つ総理ってのは今まで日本でないわけじゃないですか。有事が最優先、危機管理が最優先ですから、それは何を置いても、もう第一です。総理も人間ですから、そして総理も親ですから、どういう形だったら、この家族の時間、子どもとの時間、それが許されるのか。こういったことは私なりに考えたいですね」

新たな総理像を語りました。

選挙当初の世論調査では、「次の総理・総裁にふさわしい人」で1位だった小泉氏。

小泉 元環境大臣
「敗因があるとしたら私の中で足りない物があったと思います」

選挙戦のなかで、失速していった理由とは…

26日、東京・千代田区にある小泉陣営では、最後の戦略会議が行われていました。

田中良生 衆院議員
「もう三つ巴ということで、できる限り皆さん、国会議員のつてのある方、あるいは他陣営の方電話かけてきて、1票でも多く集めるようにお願いしたい」

劣勢が伝えられる中、狙っていたのは「議員票」の積み増しです。

辻清人 衆院議員
「もうゆとりは全くないですね」

苦戦の原因は「党員票」の伸び悩み。きっかけのひとつが小泉氏の訴えたある政策です。

小泉 元環境大臣
「選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的な議論を進めます」

賛否が割れる選択的夫婦別姓の導入。改革色が強く、保守派の党員が反発したとみられています。

加藤鮎子 こども政策担当大臣
「(Q.党員票が伸び悩む原因は?)党員の皆さんが、わりかし年配の方が多いというのは、我々組織の課題でもあると思いますが、党員の皆さんのボリュームゾーンと世の中、社会の求めてる構成とか少しずれがあるのかなと」

その保守派を意識したのか、街頭演説では”愛国心”という言葉を使い、訴えかけました。

小泉 元環境大臣
「私がより1人1人の人生の選択肢を増やしたいと思うのは、私は愛国心があるからです」

選挙戦終盤には掲げた”脱派閥”に逆行するような行動も。

25日は麻生派を率いる麻生副総裁と、26日は二階派の二階元幹事長と相次ぎ面会、支援を求めたのです。

小泉 元環境大臣
「(Q.二階元幹事長とはどんな話を?)選挙というのは一人ひとり、一人でも多くの方に誠心誠意お願いをする。当たり前のことだと思います」
「(Q.支援のお願い?)選挙というのはそういうもんです」

“脱派閥”ではなかったのでしょうか。

27日、決戦を前に行われた小泉進次郎氏の”出陣式”。

小泉 元環境大臣
「明日からまたこのチームでずっとやりたい。勝つしかありません」

三谷英弘 衆院議員
「同じ世代として今の40代が次の日本を作っていくという思いを形にしたい」

しかし、小泉氏は議員票で75票とトップに立ったものの党員票は61票。1位の高市氏の109票には遠く及ばず、合計では3位と、決選投票にも残れませんでした。

小泉 元環境大臣
「敗因があるとしたら私の中で足りない物があったと思います。そこは自分でも振り返り、そしてまた仲間からも分析をしてもらって、この糧を次の一つ一つに活かしていきたい。新総裁をしっかり支えていきたいと思います」

■「勝ち馬に乗ろう」と高市氏に議員票が移ってしまったか

日比麻音子キャスター:
三つ巴ともいわれていましたが、小泉氏は決選投票には進めずという結果になりました。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
要因は二つ考えられます。

一つ目は、党員票が伸び悩んだことです。小泉氏は「解雇規制の自由化」のようなことを言っていましたが、自民党員は、保守層が比較的多く、小泉氏的なラディカルな改革については、やや批判的だったのではないでしょうか。そのため地方票が伸び悩んだとみられます。

二つ目は「勝ち馬に乗ろう」と、恐らく議員票が十数人単位で高市氏に移ってしまったケースがあるとみています。そのあたりは小泉氏にとって誤算でしょう。

日比キャスター:
選択的夫婦別姓について、自民党内では今後、どのように展開していくのでしょうか。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
小泉氏もあれだけ強く言っているので、それこそ党議拘束を外してでもやってもらいたいと思います。

しかし今回、選択的夫婦別姓制度に反対な高市氏がかなりの票を取ったことで、党内の慎重派は相当勢いづいていますから、私はそう簡単に実現できないのではないかとみています。

日比キャスター:
ただの総裁選におけるアピールアイテムではなく、しっかりと進めてもらいたいところですね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
むしろ、決勝戦となる総選挙で国民の判断を示す必要があると思います。

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<プロフィール>
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

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