記録的な豪雨に見舞われた石川県輪島市で25日、安否不明だった井角祐子さん(68)が遺体で見つかり、夫の隆さん(70)は「祐子にはありがとうと言いたい」と報道陣に語った。3連休中に訪ねてくる予定だった孫に、料理を振る舞うのを楽しみにしていたという祐子さん。明るい人柄で知られ、知人からも悼む声が上がった。(上田千秋)

安否不明となっていた妻の井角祐子さんと見られる遺体が発見され、思いを語る夫隆さん=25日、石川県輪島市久手川町で

◆ギョーザを作ってもてなす準備 「子どもや孫思いだった」

 井角さん夫妻は大雨が降っていた21日午前9時半ごろ、同市久手川(ふてがわ)町の自宅にいた。隆さんは車を自宅そばの安全な場所に移動させて戻ろうとすると、雨が激しくなったため自宅に帰れなくなり、隣家の2階に避難。そこで見えたのは、川に流されていく自宅だった。50メートルほど先で崩れたという。  本来なら22~23日、離れて暮らす長男が小学校低学年の孫2人を連れて遊びに来るはずだった。大雨で取りやめになったが、ギョーザを作ってもてなす準備をしていたといい、隆さんは「子どもや孫思いだった」と振り返った。   これまで連日、川の周辺を自ら歩いて祐子さんを捜していた隆さん。「結果論だが、『山の方に逃げろ』と言っておけば助かったかもしれない。後悔はある」としつつも、「見つかって良かった」と言葉を絞り出した。

◆活動的だった祐子さん、知人からも悼む声

安否不明となっていた井角祐子さん(左)。右は夫の隆さん=家族提供

 祐子さんは栃木県芳賀町出身。結婚後は東京や金沢などに住み10年前、会社を退職した隆さんが古里の輪島市に戻ったのを機に、一緒に移り住んだ。福祉施設に勤め、能登半島地震で仕事に行けなくなった後は、隆さんと畑仕事などに精を出していた。  体を動かすのも大好きで、2人でグラウンドゴルフを楽しみ、祐子さんは大会で優勝するほどの腕前だった。近所に住む瀬例(せいれい)敏之さん(68)は「公民館で、だんなさんと一緒によくスポーツをしていた。状況から厳しいだろうとは思っていたけど、残念です」と話した。 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。