自宅に火を付けて全焼させたとして、現住建造物等放火の罪に問われた女。20年近くの間、浪費や不倫を繰り返し、そのたびに家族から𠮟責された女は「自分が生きていれば家族に迷惑をかけてしまう」との思いから自殺を図ったといいます。双極性障害や知的障害があったという女が裁判で語ったこととは。

初公判「間違いございません」 検察と弁護士の冒頭陳述は?

現住建造物等放火の罪に問われているのは、島根県内に住む女(50代)です。

起訴状などによりますと、女は2023年7月、夫と2人で住む自宅に放火しようと、チラシなどが入っていたゴミ箱の中に、ライターで火をつけた新聞紙などを入れるなどして火を放ち、その火を壁や天井に燃え移らせて、自宅を全焼させた現住建造物等放火の罪に問われています。

9月に開かれた初公判で、裁判官に起訴内容について間違いがあるか問われた女は「間違いございません」と答えました。

女は2018年1月から、市の消防団員として、年末夜警などの活動に従事していましたが、逮捕・起訴を受けて懲戒免職処分となっています。

検察の冒頭陳述では、ストレス発散などの目的で浪費を繰り返したことや、夫との性生活の不満から数十人の男性と不倫を繰り返したことで、女が家族らから叱責されていたことなどに触れ、叱責してきた家族に後悔させたいなどの思いから自殺目的で火を放ったと主張。現場は住宅密集地で、周辺住民の命や財産を脅かす、身勝手で悪質な犯行だとしています。

一方、弁護側は、女が精神障害で長期にわたって病院に通院していたことや知的障害があったことに触れ、不倫や浪費のことで、「家族に迷惑をかけて申し訳ない」という気持ちと「病気のことを分かってくれない」という気持ちの葛藤の中で、自殺したいと衝動的に火をつけてしまったと主張。今後の審理で、何十年も病気に悩まされた背景など、犯行に至ったいきさつに注目してほしいと話しました。

被告人質問で明らかとなった女の過去…事件に至るまで浪費・不倫を繰り返してきたー

第2回公判で行われた被告人質問。女はか細い声で、時折声を震わせながら弁護士からの質問に答えました。

Q家族構成と経歴について教えてください
―両親と夫、子どもが3人います。短大を卒業し、就職して結婚しました。

Q躁うつ病について、うつ状態のときあなたはどうなりますか?
―ほとんど家事や風呂ができず、本や新聞、テレビも見られず横になっていることが多いです。

Q期間は?
―長い時で2年間引きこもりで、家族とも話すことがありませんでした。

Q家族から嫌なことを言われたことはありますか?
―母からは励ましの言葉もありますが、うつ病で寝込んでしまったときは「なまけている」「ずるい」と言われました。

Q気分が良い時はどういう状態になりますか?
―早口で饒舌、活動的になります。通販で物を買ったりもします。

Q自分が躁状態だという感覚は?
―ないです。いつも元気で明るい自分、本来の自分という感覚です。

Q家族に迷惑をかけたことは?
―買い物、消費者金融にお金を借りたり、男性関係について迷惑をかけました。

Q買い物についてはどういったものを買いましたか?
―洋服、宝飾類、家具、犬の物や家族の物、飲食などです。お金が無ければ一旦は我慢しますが、テレビや雑誌、友人が着ているものや宝飾品を見るとどうしても欲しくなって、買うことが多々ありました。

Q1回あたりどれぐらい使いましたか?
―万単位です。10万を超えることはほとんどなかったです。

Q頻度は?
―1か月に1回あるかないか。

Q借金について家族に相談は?
―黙って借りていました。家族に隠し通せなかったです。主人には「なぜ相談してくれなかった?」と言われました。

Q両親の反応は?
―あきれかえって「また同じことをした」と叱責されました。

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