被爆体験者訴訟で一部原告を被爆者と認めた長崎地裁判決について、被告の県と長崎市、それに原告の双方が24日控訴しました。

24日午後行われた県・長崎市と原告団との面談では、大石知事と鈴木市長が、国から伝えられた控訴の方針や、県・市として控訴を決めた理由について説明しました。

全国被爆体験者協議会 平野伸人相談役
「もう控訴はされたんですかね?」
長崎県福祉保健部長:
「すでに控訴させて頂いた」

被爆体験者問題の救済をめぐり、国は現行の支援を見直し、被爆者と同等に医療費を助成すると発表。要件となっている「精神疾患の発症」もなくすとしましたが、広島のように被爆者とは認めませんでした。

また、今月9日に長崎地裁で言い渡された一部原告を被爆者と認めた判決についても控訴を表明。県と長崎市も、国の方針を受け、24日午前、控訴の手続きを済ませたということです。

第二次全国被爆体験者協議会 岩永千代子原告団長:
「状況として(国の)圧力が強くて控訴したとしても、どこかに私たちのことを捨てていない、救うんだというメッセージを持って、控訴取り下げるということになるんじゃないかと。私は信じてますね。決して私たちは捨てられていないと思っております。宜しくお願いします」

多長被爆体験者協議会 山内武会長:
「どうして国の言いなりになるのか。今からでも控訴を取り下げて頂きたい」

鈴木史朗長崎市長:
「(国が)被爆者健康手帳を交付すべき統一的基準をつくることが難しいと。仮に市が国の方針に反して控訴しないとしてもですね、現実にですね、被爆者健康手帳の交付をですね、公平に実施するということは困難であると。いうことから、大変苦渋の決断ではございましたが、控訴やむなしと」

大石賢吾長崎県知事:
「勝訴された方々だけではなくてですね、やはりそれ以外の全ての被爆体験者の救済がなされるべきと。上級審の判断を踏まえた被爆者健康手帳を交付すべき統一的な基準が確立することによって長崎においても手帳の交付の範囲が拡大することに繋がるものと考えております」

知事と長崎市長は、「引き続き、長崎でも黒い雨などが降ったことを証明する資料を探し一刻も早い救済に向けて取り組む」と述べました。

知事らとの面談後、原告側も、一審判決で敗訴した原告らの被爆者手帳を交付するよう求めて、控訴状を提出しました。

第二次全国被爆体験者協議会岩永千代子原告団長:
「もうこうなったら命がけですね。とにかくやれるところまでやりましょう」

原告44人のうち死亡した1人の遺族のみ控訴しない意向です。控訴審では長崎地裁判決の妥当性や先行訴訟とのずれが争点になる見通しで、原告の高齢化が進む中、弁護団は裁判が長引かないことも重要視しており「和解」も視野に控訴審にのぞむ考えです。

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