山形大学は、24日に臨時の記者会見を開き、新たな地上絵を303点発見するとともに、地上絵の目的が明らかになったと発表した。

この研究結果は、米国科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載されることになった。

※このあとに発見された地上絵の写真を多数掲載

ペルー・ナスカの地上絵はユネスコの世界文化遺産として広く知られ、少なくとも2000年以上前に描かれたものとされている。

1920年に発見されて以来、これまでの研究では動物や植物などを描いた絵が430個確認されていて、そのうちの318個を山形大学ナスカ研究所が人工衛星や航空機、ドローンを用いて発見した。

しかしナスカ台地は400平方キロと広大なため、山形大学とIBM研究所が提携し、先進的な人工知能AIを活用し地上絵の発見に取り組んだ。

高精度のAIで飛行機から撮影した膨大な航空写真を分析したところ、発見確率は16倍になり、わずか6か月で303個の新しい地上絵を発見した。

この研究によって、確認された地上絵の数はこれまでの「ほぼ倍」になったという。

地上絵の研究をおよそ20年間続ける山形大学学術研究院の坂井正人教授は「こんなにあるとは思っていなかった」と目を細める。

今回の発見でナスカ台地の地上絵のモチーフや分布の分析が可能となった。山形大学は研究の結果、地上絵には大きく2つの種類、目的があったことがわかったとした。

「面タイプ」と呼ぶ地上絵は、山肌などにあり、人間や家畜などが描かれている。この絵はナスカ台地を走る小道などから観察することができるという。このことから、少人数のグループが制作し、主に道しるべや目印などの役割を果たしていたのではないか。

もうひとつ「線タイプ」と呼ぶ巨大な地上絵。これは主に野生動物が描かれている。山形大学は、線タイプの巨大な地上絵はおそらく共同体レベルで儀式的な活動のために制作・使用されたと考えられるとした。

いずれもナスカ社会の文化的要素をさぐるために重要な発見だとしている。

山形大学は、AIの性能を向上させることでさらに多くの地上絵の発見につながるとしている。

現地調査の結果、100本以上の小道に沿って1000点以上の面タイプの地上絵が分布していると推定されるとしていて、今後も新たな地上絵の発見と、その絵が示すナスカ社会の文化的情報の分析・解読に取り組むとしている。

■発表された地上絵が、これだ

■こんなかわいい?絵も

■不思議な生き物?

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