東日本大震災の発生から9日後、被災した住宅から救出された男性や当時の県警本部長ら3人によるトークイベントが22日、宮城県石巻市で開かれました。3人は、それぞれの立場から奇跡の救出劇と言われた「3月20日」を振り返りました。

9日後の救出劇

阿部任さん:
「(余震で)崩れた壁を伝って屋根の上に出ることができたのが9日後。それまでまったく周りの状況が理解できていなかった」

トークイベントには、震災発生から9日後に救出された阿部任さんと河北新報社の佐藤崇編集部長、それに当時の県警本部長・竹内直人さんが登壇し、当時の救出劇を振り返りました。

阿部さんは、当時高校1年生。石巻市門脇町の祖母の家にいたところ、6メートルを超える津波に家ごと流されました。9日後の3月20日、屋根の上にいたところを発見され、祖母とともに救出されました。

阿部任さん:
「救助が始まったときにすごく申し訳ないなと、たくさんの人に迷惑をかけてしまったと。メディアの人がたくさんいて、救助隊より多かったのでは。逃げなかったことをバッシングされるのかなと思いながら救助された」

「奇跡」と報じたメディアは…

当時、現場で取材した佐藤編集部長。救出劇を「奇跡」という見出しで大々的に報じました。

河北新報社 佐藤崇編集部長:
「奇跡という言葉が自然に出たのを覚えている。30年以上記者生活をしているが、奇跡が起きたという表現をとったのはこの時が最初で最後」

「奇跡」の救出に警察は…

県警本部長として指揮を執った竹内さんは自分たちを奮い立たせる出来事と振り返りました。

震災当時の県警本部長 竹内直人さん:
「9日目になってまだ生存者がいたことは、自分たちにとって真っ暗闇の中に光がさし、これでもうひと頑張り災害対応活動をみんなでがんばろうという誓いを新たにした出来事」

震災当時の県警本部長 竹内直人さん

3人それぞれの立場からの話を聞いた人は…。

東京から訪れた人:
「自分が想像していたことよりもすごい大きな出来事だし、それぞれの視点があって動いていたことは今後にも生かせること。身の回りの人にも伝えていきたいなと思った」

訪れた人たちは、災害への備えや報道の在り方などを考えながら、3人の話に耳を傾けていました。

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