毎年10月7・8・9日の3日間行われる「長崎くんち」。大人も子どもも町を上げて稽古に励む「長崎くんち」は日本一練習する祭りとも言われ、その完成度の高さは一度見た人の心をとらえて止みません。コロナ禍で3年間の休止を挟み、10年ぶりの出演となることしの7か町。本番までの稽古の様子を諏訪神社前日の奉納順にシリーズでお伝えします。

「第二番」は、山伏道中・剣舞・弓矢八幡祝い船を奉納する八幡町。町の守り神「ハト」も出演します。

根曳たちの勢いで、大海原の荒々しさを表現する船廻し。そして剣士たちによる勇壮な剣舞が見どころです。

総監督・橋本剛さん(55):
「八幡町の船は鳩もありますし、根曳が力を合わせて、囃子と声を合わせて回転させていく、そして反転させていく部分はぜひ見てもらいたいですね。」

八幡町は、長崎市の中央部に位置し、商店と住宅が並ぶ町です。およそ400年前、京都から長崎を訪れた山伏が八幡宮を祀ったことが町名の由来で八幡さまの使いとされるハトは町の守り神になっています。

八幡町の奉納踊りは、山伏たちが諏訪神社に奉祷文を納めるため、侍大将に守られながら長崎に入港する様子を表現しています。

8月上旬、夕方になってもまだ暑さが残る中、御旅所での場所踏みです。船廻しの稽古を何度も重ねていきます。

「姿勢を落とさず走りこむってことですよね?」
「最初高いたいね。高い状態から下がらんばさ、ダッシュやけん」

長采を務めるのは、小崎亮平さん。根曳として、2回出演し、今年初めて采をふります。

長采・小崎亮平さん(43):
「町を代表して船廻しの先頭に立つイメージですので、ちょっと緊張もありつつ、責任感が大きいながらにも、しっかりと最後までつとめたいと考えています。」

小崎さんはことし親子でくんちに出演します。最年少剣士として、剣舞を奉納する娘の結夢ちゃん。奉納する「扇の的」「八幡公」を練習しています。

小崎結夢さん(6):
「頑張りました。ちょっと具合が悪かったです。だけど、最後はうまくできたので、ママからも褒められました。また明日も頑張りましょう!」

稽古の合間を縫って家族の時間も大切にしている小崎さん。休みの日には、結夢ちゃんと近所の公園に出かけます。

Q、普段の結夢ちゃん、どんなお子さんですか?
長采・小崎亮平さん「全然いうこときかない。もっといやいや言うかなって思ったですけど、ちゃんと今、ちょっとずつ形にはなってきているようには見えるんで頑張っているなと思います」

長采・小崎さん「どこを頑張りたいか?」
娘・結夢さん「扇の的」
長采・小崎さん「扇の的を頑張りたい。じゃあ扇の的楽しみにしとくね。後ろで見てるからね!」
娘・結夢さん「うん」

大正4年に始まった八幡町伝統の奉納踊り「剣舞」。今年は小学1年生から33歳までの16人で披露します。

剣舞出場メンバー
あかりさん「踊りも剣舞もきついけど頑張りたいです」

みつきさん「抜刀と納刀を頑張ります」

剣士(成年部)篠田千尋さん:
「剣舞は皆さんに見てもらう『絵面』が重要という話をよく先生からもいただいています。皆さんに目を引き付けられるような形にもっていきたいなと思っています」

八幡町のテーマは荒々しい船廻しはもちろん、細やかな動作にもこだわること。率先して意見するのは経験豊富なメンバーです。

右舷1番・八頭司雄太さん(35):
「3回目の根曳の出場になりますので、3回目らしく皆さんに経験をフィードバックできるところはどんどんしていこうかなという意識でやっています。」

東長崎で自動車整備の仕事をしながら、鳩を飼育している鳩匠・後藤信正さん。演技の終盤に放たれる鳩、約200羽を育てています。後藤さんが育てた鳩がくんちで披露されるのは今回で5回目です。

後藤信正さん(76):
「くんちの八幡町の若い人たちとか、囃子の方とか剣舞の方も一生懸命練習してると思うんで、私も(くんちの)鳩のために一緒にくんちに向けて頑張ります」

くんち本番まで残り約1ヶ月となった9月1日。諏訪神社で初めて、出演者全員揃っての通し稽古が行われました。

右舷1番・八頭司雄太さん:
「あと、1枚2枚上にいけるようにかなり気合い入れてやらないといけない、その気持ちで頑張りたいと思います」

右舷4番・﨑康由さん(37):
「みんなの気合を見せれたらいいなと思っています」

小崎結夢さん「本番までの練習をみんなで合わせて頑張りたいです」

小崎亮平さん「本番では、荒々しさ、静と動の動きをしっかりして見た人が驚くような船廻しを披露したいと思います」

八幡町の弓矢八幡祝い船、荒々しさをさらに際立たせ諏訪の本舞台に挑みます。

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