「オブセ牛乳」の根強いファンも多いのではないでしょうか?

こだわりの製法でその味を守り続けていますが、牛乳離れなどの課題にも直面しています。


クリーミーでうまみの濃い味わいが特徴の「オブセ牛乳」。

創業以来、地域から愛される味を作り続けています。

西岡幸宏社長「オブセ牛乳では朝5時から製造をスタートするんですけど、最初にバルククーラーからホースにつなぎまして…」

北信地域や群馬県の牧場から仕入れた生乳。バルククーラーと呼ばれる貯蔵庫に移し一定の温度に冷やします。

その後、機械を使ってチリやホコリを取り除き、脂肪を砕いて品質のムラをなくしていきます。

ここからが、オブセ牛乳の真骨頂!

西岡社長「80度まで(温度を)上げてオブセ牛乳の殺菌をしていきます。牛乳が一番おいしく飲める方法ということでやり始めて、ずっとやっていますので」

メーカーの多くが採用するのは効率的な「超高温殺菌」。

120度から130度で所要時間は2~3秒です。

一方、オブセ牛乳は「高温保持殺菌」を採用。

生産できる量は減りますが、80度、15分という独自の温度と時間を守っています。

西岡社長「殺菌方法によって味わいが変ってきますので、120・130度の殺菌だと味がライトになりますし、オブセ牛乳ですとコクと甘みがあるのが大きな特徴です」

加熱・殺菌した牛乳は紙パックやビンに詰められ完成です。

従業員「お客様の顔を想像しながら、喜んで飲んでもらえるのを想像しながら作るのがやりがい」

従業員「これだけ手間暇かかっているので、飲んでくれる方も美味しいなと思ってくれれば」



オブセ牛乳の創業は1950年。

3代目として社長を務めるのは西岡幸宏(にしおかゆきひろ)さんです。

西岡社長「先代の社長が家内のお父さんで、後を継げる人がいなくて廃業にするという話があったんです」

元々は岐阜県の県庁職員だった西岡さん。

今からおよそ10年前、妻・由佳(ゆか)さんの祖父が始めたオブセ牛乳が後継者不足で廃業になると聞き、まったく別の世界に飛び込むことを決めました。

西岡社長「オブセ牛乳が地域で親しまれている牛乳というのは知っていましたし、後を継ぐ人がいないというだけでなくなるのは寂しいと思って、悩みに悩んで岐阜県庁を退職して、今思うとよく決断したなと思いますね」

創業から70年以上、牛乳だけを製造してきたオブセ牛乳でしたが、西岡さんを待ち受けていたのは消費量や酪農家の減少という厳しい現実でした。

西岡社長「違ったものを考えていかなければならない中、次の付加価値をつけて新しいものを考えていかなければならない」

西岡さんは変革を起こしていきます。

就任して間もなく、県外の人も製品を購入できるよう通販サイトを開設。

オブセ牛乳のおいしさを知って欲しいと開発した菓子や、創業時から変わらない、レトロでかわいらしいロゴを生かしたグッズの販売を開始。

知名度のアップを目指しました。

さらに、2024年5月には、構想から5年をかけて完成した「オブセヨーグルト」を発表。

オブセ牛乳の濃厚な味わいを残しながら、長野県らしさを出すためフルーツとよく絡むとろりとした食感に仕上げました。

西岡社長「第2創業期として、会社のカタチを時代に合わせたものに変えていきたいと思っていまして、第2創業期としての一歩が食べるヨーグルト」

西岡さんが掲げる会社の「第2創業期」。これから始まる「新たな自社製品の開発」の取材が許されました。



この日、新設された工場で行われた商品開発の会議。

次に売る出すと決めているのが「飲むヨーグルト」です。

オブセ牛乳とさまざまな種類の乳酸菌や砂糖を混ぜ合わせ、発酵の具合などを試していきます。

出来上がったものはすぐに試食し、味を確かめます。

西岡社長「3種類の乳酸菌、砂糖も2種類使っています。乳酸菌の違いと砂糖の違いでどう違ってくるかをみんなで確かめてみたいなと」

6種類の試作を食べ比べ甘みや酸味のバランス・後味について意見を出し合います。

(試食)「一番最初のやつが一番爽やか、後味はこれがスッキリしている」「飲むヨーグルトは甘みがあるので自分は酸味が少ない方がいいのかなと思いますけど」

走りはじめたばかりののむヨーグルト作りは、まだまだ、試行錯誤が続きます。

西岡社長「何を思ってやるのかというところで、おいしいものは何を入れても美味しいと思うが、コンセプトをしっかり考えていかないと、誰かの好みに合わせると100通り作らなきゃいけなくなるので、そこが難しいところ」

西岡さんには、妻の由佳さんと共に実現させたい構想がこのほかにもあります。

「これが3歩目か4歩目になると思うんですよ、事務所を改装しようかなとお店ぽっくグッズとかお品物を売って…」

観光客などを迎え入れられるよう、来年度までにショップも作る予定です。

妻・由佳さん「この牛乳ってこんなふうに美味しいのよとか、話ができたらいいなと思う。「(夢がふくらみますね?)もっともっと遠くにあるよ(見据える先は)」

西岡社長「首都圏だったり大阪だったり、遠くの方に来ていただけるような地域にとっての活力となれるようになりたい」

新たな展望へ!オブセ牛乳の進化に目が離せません。

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