障がい者向けグループホームを経営する身でありながら、性的虐待を入居女性2人(当時18~20)に常習的に加えていた男(64)。大阪地裁堺支部は9月19日、男に有罪判決を言い渡しました。


◆性的暴行やわいせつ行為被害女性2人に知的障がい…スマホでみだらな姿撮影も

塩本裕治被告(64)は2022年から今年1月にかけ、自らが経営していた障がい者向けグループホームの入居者の女性2人に対し、体を触る・なめるなどのわいせつな行為をしたり、陰部に指を入れるなどの性的暴行を加えたりしたとして、不同意性交等・不同意わいせつ・準強制わいせつの罪に問われていました。

さらにその女性2人をみだらな姿にさせ、自らのスマートフォンで撮影したとして、性的姿態等撮影の罪にも問われていました。

被害女性2人は事件当時18歳~20歳。1人は中度、もう1人は重度の知的障害がありました。


◆徐々にエスカレートドライブで体触る場面も

検察側の冒頭陳述や論告によれば、塩本被告は遅くとも2022年5月頃から、中度知的障害がある被害女性への性的虐待を開始。最初は髪の毛や肩、腰などに触れる程度でしたが、徐々に犯行をエスカレートさせたといいます。勤務時間中にドライブに連れ出し、体を触る場面もあったということです。

一方、重度知的障害がある被害女性は、去年9月頃にグループホームに入居しましたが、その直後に塩本被告から被害を受けました。


◆「自分のたががはずれてしまっていた」と被告

裁判で起訴内容を認めた塩本被告。被告人質問では、“なぜ犯行に及んだのかは分からない”“自分の弱さだったと思う”という旨の供述が目立ちました。

(今年8月の被告人質問)
塩本裕治被告
「いま考えると、なぜ当時そんなことをしてしまったのかは分かりません。強いて言えば、自分が弱かったのだと思います」

「いやだと言われないことに対して、同意を得ていると勘違いしていました」

「いま考えると、立場のちがい、本人の障害から、いやだと言えなかったのだと思います」

「自分のたががはずれてしまっていた。越えてはいけない所を越えてしまっていた」


◆検察官「なぜAさんとBさんだったのか?」

検察官「いろいろな入居者がいる中で、なぜAさん(重度知的障害がある女性)とBさん(中度知的障害がある女性)だったのか?」

被告「強いて言えば、(着替えを手伝うなど)直接支援に関わる機会が、特にBさんは多かったので…」
検察官「撮影行為までした理由は?」
被告「………そんなに大きな理由はないです」

塩本被告は、グループホームでの夜勤中に、被害女性の部屋に立ち入り犯行に及んでいましたが、“自分が率先して夜勤のシフトに入るというより、入れる人がいないから入るという状況だった”と説明しました。

さらに塩本被告は、“被害者らが拒否反応を示した時は性的な行為をストップした”“一連の行為すべてをやめてほしいという意思だとは捉えなかった”と供述する場面もありました。


◆「被害者らの意思を一顧だにせず、自己の性欲を満たす道具として扱った」検察は懲役10年求刑

検察側は論告で「被害者らの意思を一顧だにせず、自己の性欲を満たす道具、性欲のはけ口として扱い、人格を著しく蹂躙する卑劣な犯行」「青年期を迎える多感な時期に、これほど甚大な被害を受けたことは、健全な心身の生育にも多大な悪影響を与えることが必至」と、厳しい言葉で糾弾。懲役10年を求刑していました。

塩本被告は最終陳述で「本当にすべての方に対して申し訳なかったと思っています。どんな言葉を述べればいいか、想像だにできません。今後生涯をかけて、反省と自分のできる限りの償いをしていきたいと思っています」と述べていました。

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