10月5日、福島県内の最低賃金が「955円」に引き上げられます。これまでの900円から一気に55円、率にして6.1%のアップで、過去最高の上げ幅となります。
引き上げを前に、福島労働局は17日、福島商工会議所や県中小企業団体中央会など福島市の経済団体を訪ね、ポスターなどを配布して県内の企業などに引き上げを周知するよう要望しました。
福島労働局賃金室・鈴木孝春室長「例年よりも上げ幅が大きいので、今まで以上に注意していかないと最賃違反を発生させてしまうので、周知広報をより気を付けてやらないといけない」
厚生労働省では、最低賃金の引き上げで影響を受ける中小企業を対象に、すでに新たな設備投資に対する助成金や専門家による相談など、さまざまな支援を行っているということです。
12年前は「664円」最低賃金の推移
過去13年間の福島県内の最低賃金の推移を見ると、2012年度は664円でした。そこから毎年度引き上げられ、24年度は955円と、300円近く引き上げられています。
今回はこれまでの900円から55円アップと、上げ幅も大きくなっていますが、この理由について福島労働局に聞くと、大きく2つありました。
一番大きいのは、やはりここ最近の物価高に対応するためです。
さらに、福島県は年々人口が減少しているので、その人口流出を食い止めるためというのも理由の1つだということです。
「本当に上げないといけないの」相談も
この最低賃金は全ての労働者に適用されるので、働く側にとってはうれしいことですが、企業側にとっては負担が増えることになります。実際に福島労働局にも「人件費の負担が大きくなってしまう」「本当に来月5日までに上げないといけないのか」という相談の声がきているということです。特に、人件費の割合が多い飲食業の方からの相談が多いということでした。
しかし、もし最低賃金以上の賃金を支払わない場合には、最低賃金法に基づき、50万円以下の罰金が科せられることがあります。今回の引き上げは人件費の負担が増えることになりますが、企業側もこの賃上げを機会に適正な価格転嫁や経営の効率化を考えていく必要がありそうです。
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