山口県萩市は、アメリカ・ニューヨークで萩焼と日本酒のPRイベントを開き、海外販路の拡大を目指しています。世界中から物や人が集まるニューヨークでは、私たちが想像しなかったことが評価されたようです。
萩焼で日本酒の飲み比べ
ニューヨークでのイベントには、萩市の岡崎酒造場や萩焼の窯元・松林庵登陽窯など、萩市や周辺の6つの酒蔵と7つの萩焼の窯元が参加しました。ニューヨークでは、現地の飲食業界の関係者などおよそ80人を招き、萩焼を使った日本酒の試飲会を開きました。萩焼のぐい飲みなど100個ほどが用意され好きなものを選んで日本酒の飲み比べです。
このうち岡崎酒造場では、純米大吟醸や辛口特別純米など、自慢の日本酒4種類を提供しました。参加者からは、辛口の酒の評判がよかったようです。ニューヨークでは、少し甘みのある日本酒がはやっていますが、辛口の酒はしっかり米のうま味を感じ、複雑な味わいが好まれたといいます。さらっとして、料理との相性のよさも評判でした。
渡米した岡崎酒造場 岡崎孝浩 社長
「おいしいとかいいねとかいう感じじゃなくて、これをいかにどうやって勧めるとか、どういう飲み方をさせたらいいかっていうのを現実的に聞かれる方が多かったので、こちらとしても話しがいがあるというかアピールしがいがあったという感じですね」
料理は、ミシュラン2つ星の日本食レストランが用意したものです。山口県の郷土料理・けんちょうや瓦そば、わかめむすびなどをアレンジしました。
NYでは入手しにくい日本の器
萩焼の窯元・松林庵登陽窯の萩焼作家、玉村信一さん。ぐい飲みを用意して萩焼と日本酒を楽しんでもらいました。日本食が浸透してきたニューヨークですが、日本料理に欠かせない器が手に入りにくい状態です。ニューヨークではまだまだ知られていない萩焼ですが、興味を持ってじっくり1つずつ見ていたそうです。
3人の作家が現地で萩焼を説明しました。同じ萩焼なのに、作家によってそれぞれ作品の表情が違うことに、驚いていたようです。アメリカらしく食洗機が使えるかというのも重要なポイント。玉村さんの普段使いの萩焼は「食洗機も使える」ことも評価されたそうです。
器の高台部分が高くなっている「馬上杯」は、特に人気がありました。武将が馬に乗ったまま杯を交わしたというストーリーが気に入られたようです。現地の人にも、萩焼は好評だったようです。
渡米した松林庵登陽窯の萩焼作家 玉村信一さん
「特にむこうのご家庭とかだと1つの大きな鉢だとかお皿などで料理を出して、それを取り分けて食べるっていうのが一般的だと伺ったので、そちらのニーズに合わせたものは今後あれば作っていかなければと思いますね」
萩の知名度アップ、観光客増に期待
萩市ではニューヨーク・タイムズの「今年行くべき場所」に山口市が選ばれる前からこのイベントを企画していました。ニューヨーク・タイムズは、萩市の特産品をアピールする後押しになったようです。
萩市商工観光部 藤原章雄 次長
「伝統産業をはじめとして萩の知名度もこれに合わせて向上させてさらには観光客の誘致につなげていければと思いました」
萩焼と日本酒をニューヨークで広めたい-そんな思いで企画したイベント。世界中から物や人が集まるニューヨークの人たちの声は、さらに伝統や文化を広めるヒントにもなったようです。
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