8月、気象庁は、初めて「南海トラフ地震臨時情報」を発表しました。これは、大きな地震が発生した後に、続けて起きる可能性がある大きな地震「後発地震」への注意を呼び掛ける情報です。この情報、実は「南海トラフ」だけではないのです。

初めて出された臨時情報

8月8日に発生した宮崎県沖の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震。宮崎県日南市では最大震度6弱を記録しました。

気象庁地震火山部 束田進也地震火山技術・調査課長:
「南海トラフ地震の想定震源域では、新たな大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると考えられます。政府や自治体からの呼びかけ等に応じた防災対応を取っていただけるようお願いします」

この地震を受けて気象庁は、「南海トラフ地震臨時情報」を初めて発表し、南海トラフを震源とする巨大地震の発生確率が平時よりも高まっていることへの注意を呼びかけました。

その後、巨大地震は発生せず、顕著な地殻変動も観測されなかったため、発表から一週間後の15日に解除されました。

「後発地震」とは

このような地震が発生した後に連続して発生する地震のことを「後発地震」と言います。南海トラフでは、1854年にマグニチュード8を超える規模の地震が起きたおよそ30時間後に同規模の地震が起きるなど連続した地震がいくつか発生していたことがありました。

この後発地震への注意を呼びかける仕組み、実は南海トラフだけではありません。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは

それは、北海道や東北を対象としたものです。それが「北海道・三陸沖後発地震注意情報」です。2022年に運用が始まりましたが、これまで発表されたことはありません。どれくらいの人が知っているのか街で聞きました。

街の声:
「全然知らないです、初めて聞きました」
「分からないです、名前も分からないです」
「内容までは詳しくないが、そういう地震があるというのは聞いている。コメもそうですけど備蓄しておかないと、ということでやっている」
「水とかを備えています、倉庫に非常食も置いています」

まだ良く知らない人も多いようです。この注意情報は、「千島海溝」と「日本海溝」を震源とする後発地震への注意を呼びかけるものです。

では、この2つの海溝ではどんな巨大地震の発生が危惧されるのか、専門家に聞きました。

想定では3.11を上回る人的被害が…

津波工学が専門の東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授です。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦教授:
「我々が住んでいるエリアの沖には太平洋の海洋のプレートがあって、我々の陸側に沈み込んでいます。そこでは定期的に巨大な地震と津波を伴うような被害が起きている。マグニチュードでいうとM8.5以上、M9クラスになる、これは東日本大震災と同規模になる。巨大な津波が襲うので各地で10メートルを超えるものであり、想定も3.11を上回る人的被害が出されている」

中央防災会議のまとめによりますと、千島海溝の場合で最大でおよそ10万人、日本海溝の場合で最大でおよそ19万9000人の死者が想定されています。こうした巨大地震に備えるための情報が「北海道・三陸沖後発地震注意情報」です。

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