山梨県の長崎知事に関する現金1182万円の不記載問題で東京地検が刑事告発を嫌疑不十分で不起訴として2週間が過ぎました。
今回は元東京地検特捜部副部長で元衆議院議員でもあるいわば検察と政治のスペシャリストの若狭勝弁護士にインタビュー取材を行いました。(前編・後編の後編)

この問題の本質はどこにあるのか、そして今後求められる事はなんなのでしょうか。

元東京地検特捜部副部長 元衆議院議員 若狭勝弁護士:
「処理がわからないお金を受け取りました、ということ自体、政治責任としてかなり問題」

こう語るのは元東京地検特捜部副部長で元衆議院議員、検察と政治の両方の経験を持つ若狭勝弁護士。

長崎知事が2019年に自民党二階派から、処理未確定のまま現金1182万円を受け取っていたものの事務所の金庫に入れたまま失念したとして、自らの資金管理団体の政治資金収支報告書におよそ5年間記載していなかった問題。



東京地検は先月29日、市民団体からの刑事告発を嫌疑不十分で不起訴としました。

元東京地検特捜部副部長 元衆議院議員 若狭勝弁護士:
「嫌疑不十分というのは、あくまで疑わしいことを検察も認めているわけですから、決してそれで真っ白 無罪、なんら問題なかったということには決してならない」

検察の判断を受けて改めて行った会見で、長崎知事は受け取った現金の詳細な管理状況も明らかにしました。



山梨県 長崎幸太郎知事:
「(現金1182万円は)袋から取り出されていたものの、金庫には常に1182万円以上の額の現金残高を維持する形で管理がなされていたことが確認されています」


一方、長崎知事は問題発覚以降の取材に対して、日常使いする金庫とは別に「いざというときに使えるお金をいれた金庫」が事務所に存在していたことも認めていました。

記者:
「1182万円は『いつでも使えるお金』と一緒に保管していた?」
山梨県 長崎幸太郎知事:
「はいそうなります」
「個人のお金といえるのか、これまでの蓄え、いざというときに使うべきものがそこ(金庫)にあったわけですので、場合によっては一時的な資金繰りには使っていいよと」
「短期の資金繰りで返されれば、(政治資金収支報告書に)記載していなかった」

こうした管理体制について若狭弁護士は…



元東京地検特捜部副部長 元衆議院議員 若狭勝弁護士:
「いわば2つの金庫があるわけですよね」
「場合によってはお金をこっちに入れたり、こっちに入れたり、というのが事実上金庫だと物理的に可能になるわけです」



元東京地検特捜部副部長 元衆議院議員 若狭勝弁護士:
「出し入れ(の記録)が残らない。口座と違って、極めて怪しいもんでしょうという疑いが原点として発生してしまうんですね」
「そういう疑われるようなことをすること自体、政治的な責任というか、政治家としては絶対に避けなければいけない」

疑わしいと思われる事自体に問題があると若狭さんは強調します。



元東京地検特捜部副部長 元衆議院議員 若狭勝弁護士:
「公正かどうかはもちろん大事ですけれど、それだけではなくて、公正さを保つ、担保する姿勢を、やはり政治家は持たなければいけない」
「普通、我々が思えば疑わしいと、その時のさじ加減で自由自在に、こっちにしようということが簡単にできてしまうようなことをやっていることは公正性に疑問符が付く」
「公正性に疑問符が付くことをやっていては、政治家は信頼を勝ち得ない」

今回の問題について長崎知事は会見でこのように総括しています。



山梨県 長崎幸太郎知事:
「私は事務手続きの問題と割り切れる問題と考えています」

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