児童館の再編整備計画が課題となっている東京都杉並区は、児童館が無い7つの中学校区に新設を検討する。今ある25カ所は存続させ、機能を強化する方針。区内では児童館の廃止が進められ、区民から反対の声も上がっていた。岸本聡子区長は取材に「少子化の時代だからこそ、地域社会に対する投資。住民と共に子どもの見守りや学習支援をしていく」と説明した。

◆前区長時代に再編計画「41カ所中16カ所を廃止」

 児童館の新設や機能強化については10日の区議会で、岸本区長が「現在ある児童館は機能強化を図った上で存置し、中学校区に児童館が無い地域では今後、他の区立施設との併設や複合化を前提に、新たな児童館の整備について検討していく」と答弁した。

杉並区に25ある児童館の一つである和田中央児童館=11日、東京都杉並区で

 同区の児童館再編をめぐっては、前区長時代に41カ所中16カ所を廃止する計画が打ち出されたが、岸本区長は2022年6月の区長選で再編の見直しを公約に掲げて初当選した。しかし就任後、すでに改修が予算化されていることなどを理由に下高井戸児童館を昨年3月に廃止。今年3月には阿佐谷南児童館が廃止された。

◆自民区議「少子高齢化でニーズに合っているか注視」

 岸本区長は新設計画について「保護者や子どもの声を聞く中で導いた結論。児童館は家庭に居づらい子や学校に行きたくない子にとっても第三の場所になる」と児童館の意義を強調。児童館廃止に反対する署名活動をしてきた井上恵さん(41)は「前進したと思うし歓迎したい」と評価。一方、以前は小学校区に1つあったことから「小学生も通いやすい、利用しやすい場所になるのだろうか」と不安も口にした。  区は今後、住民や子どもとの意見交換会を開き、計画に反映させるとしている。自民党の脇坂達也区議は取材に「財政負担面や、少子高齢化の中で社会のニーズに合っているのか、注視していかなければいけないと思っている」と話した。(浜崎陽介) 

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