「まつ毛ダニ」とも呼ばれる、顔の毛穴に寄生するダニ「デモデックス」。高齢者のほかアイメイクや「まつ毛エクステ」をしている人はダニが増殖しやすく、様々な目のトラブルの原因になることもあります。花粉症とも間違えやすい「まつ毛ダニ」による症状などを取材しました。

まつ毛1本につき平均3匹…

複数の足を動かし、まるで芋虫のような形の生き物、「まつ毛ダニ」です。

「顔ダニ」や「デモデックス」とも呼ばれるダニの一種で、大きさはおよそ0.4ミリと肉眼ではほとんど確認できません。

健康な人の顔にも多く存在していて、2023年に報告された研究では、眼科を受診した患者のまつ毛を調べたところ、94%の患者から「まつ毛ダニ」が確認されたということです。

さらに、この研究では、まつ毛1本あたりに平均3匹のダニが寄生していたことが分かりました。

まつ毛ダニ…普段は私たちの味方

「まつ毛ダニ」は通常、皮膚のまわりの細菌や皮脂などを食べて皮膚の健康を保つ働きする、私たちの味方とも言える存在です。

しかし、皮膚が不衛生になりエサである皮脂が過剰に分泌されると異常繁殖。アレルギー症状やドライアイといった様々な目のトラブルのもととなってしまいます。

「ものもらい」や「眼瞼炎」も…

こちらは80代の男性の目。上まぶたには大きなデキモノが。

たち眼科・舘奈保子院長:「霰粒腫(さんりゅうしゅ)いわゆる『ものもらい』ができていて、全体に眼瞼炎(がんけんえん)というまぶたの炎症を起こしています」

原因のひとつに、まつ毛ダニが関わっているとみられます。

また、こちらは70代女性の目。まつ毛の周りに黄色い脂の塊がたくさんついています。

このようにまつ毛周辺に脂やフケがたまっている人は要注意。「まつ毛ダニ」が増殖している可能性が。

たち眼科・舘奈保子院長:「患者さんを診察する顕微鏡では脂のようなものが、まつ毛の根本に溜まっているということしか分かりません。そういう怪しいまつ毛を抜いて普通の顕微鏡で調べるとダニがいるか分かります」

炎症がおさまらないなら「まつ毛ダニ」かも

まつ毛ダニが異常繁殖すると花粉症と勘違いしやすい様々な症状がでてくるといいます。

たち眼科・舘奈保子院長「(目が)かゆいと花粉症だとよく思うんですけれど、目がゴロゴロするとか、なんとなく違和感があるとか。ダニ特有の症状というよりは、マイボーム腺の働きがうまくいっていない状態でドライアイの症状が出ている」

まぶたの内側には、眼球を覆う涙を安定させるために脂を分泌する「マイボーム腺」があり、マイボーム腺がつまると、涙が不安定となり、ドライアイを引き起こします。

マイボーム腺のつまりは、加齢、まばたき不足、細菌など多くの原因が考えられていますが、まつ毛ダニもそのひとつとみられています。

そして、ドライアイになると目の表面が傷ついたりウイルスなどに感染しやすくなったりとさまざまな炎症につながる恐れがでてきます。

たち眼科・舘奈保子院長:「花粉症の場合は抗アレルギー薬の目薬と、症状が強い場合はステロイド・炎症を抑えるお薬を一緒に使います。それでも長期的によくならないという場合、『まつ毛ダニ』によるまぶたの炎症が隠れていることがあります」

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