宇能鴻一郎さん(文芸春秋提供)

 官能小説で知られる芥川賞作家の宇能鴻一郎(うの・こういちろう、本名鵜野広澄=うの・ひろずみ)さんが8月28日、心不全のため死去した。90歳。札幌市出身。葬儀は近親者で行った。  旧満州(中国東北部)で育ち、敗戦後に引き揚げた。福岡県内の高校を経て東京大国文学科に進み、大学院在学中の1962年に「鯨神」で芥川賞を受賞した。  その後はスポーツ紙や週刊誌に官能小説や推理小説を次々に発表。特に60年代以降にかけて「あたし~なんです」という女性の告白調の文体を多用した性描写の官能小説を量産し、川上宗薫さんらとともに流行作家になった。「濡れて打つ」など多くの作品が日活ロマンポルノで映画化された。他の著書に「女ざかり」「アルマジロの手」など。美食家としても知られ、食に関するエッセーも執筆した。


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