自動体外式除細動器(AED)の普及を目指す日本AED財団は10日、小学校の学習指導要領に救命の実技を導入することなどを求める提言書を、盛山正仁文部科学相に提出した。さいたま市の小学6年で2011年に校内で心停止して亡くなった桐田明日香さん=当時(11)=の遺族が同行。提出後に記者会見し救命教育の拡充を訴えた。

学校で心停止して亡くなった桐田明日香さんの遺影と共に、救命教育の充実を訴えた母親の寿子さん(右)ら=10日、東京・霞が関で

 中学と高校の学習指導要領には、AEDなどの実技を伴う救命教育の実施が盛り込まれているが、小学校は未記載となっている。提言書は、心肺蘇生法やAEDの使用手順などについて、小学校の学習指導要領への記載や、大学教職課程の全学年での必修化を求めている。

◆駅伝練習中に心停止、AEDはあったのに…

 財団の三田村秀雄代表理事と明日香さんの母・寿子さん(53)らが、文科省で盛山文科相に提言書を手渡した。  明日香さんは2011年9月、さいたま市日進小で駅伝の練習中に心停止し、学校にあったAEDが使われないまま亡くなった。会見で寿子さんは「小学生からの救命教育で、命のバトンをつなぐ第1走者になることができる。救える命を救い、安全な学校、社会をつくることができる」と訴えた。  当時市教育長だった同財団理事の桐淵博さん(71)も会見で「命の大切さを学ぶ一環として、救命教育を広げていきたい」と語った。(細川暁子) 

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