サッカーJ1・川崎フロンターレのホームスタジアムを含む総合公園「等々力緑地」(川崎市中原区)の再編整備計画により、緑地内の樹木約830本が伐採される恐れがあるとして、市民団体が10日、市役所で会見し「伐採が最小限になるよう、市民と話し合いながら整備を進めてほしい」と訴えた。(北條香子)

◆建設場所を調査し割り出し

樹木の伐採が想定される場所を図で示す「等々力緑地を守る会」のメンバーら=10日、川崎市役所で

 市民団体は、地域住民ら約30人でつくる「等々力緑地を守る会」。市と再編整備を担う特別目的会社「川崎とどろきパーク」(KTP)が示す計画によると、現在の等々力陸上競技場を、フロンターレがホームとしても使用する球技専用スタジアムに改修。スポーツ興行やコンサート、展示会などに利用できるアリーナも新設する。会は商業施設や立体駐車場などの整備に伴う樹木伐採を問題視するが、具体的な本数は明らかにされていない。  「貴重な樹木が多数伐採される」との懸念を抱いたメンバーらは8月に会を立ち上げ、建物建設が見込まれる場所を調査。ヒマラヤスギやソメイヨシノなど約50種類、計630本が伐採される可能性があるのを確認した。今後調査する予定の場所でも、計約200本の伐採が想定されるとしている。

◆「緑化フェアのテーマと裏腹」

 同会の共同代表を務める吉田房江さん(73)は、等々力緑地が市制100周年に合わせて市が来月から開く「全国都市緑化かわさきフェア」の会場の一つであることに言及。「再編整備でやろうとしていることは、緑化フェアのテーマ『みどりで、つなげる。みんなが、つながる』と裏腹な気がしてならない」と疑問を呈した。  KTPの担当者は「候補地は、なるべく環境への影響が少ない場所を選んでいる。市の公共事業なので、市民の意見を聞くことは重要と考えている」と述べた。市の担当者は東京新聞の取材に対し、「やむを得ない伐採が発生するのは事実だが、具体的な本数はまだ決まっていない」とした。

 等々力緑地の再編整備計画 陸上競技場など運動施設の老朽化や防災対策を踏まえて、43.7ヘクタールを整備する。川崎市は2023年、PFI(民間資金活用による社会資本整備)の手法を活用して、東急や富士通など9社が設立した特別目的会社「川崎とどろきパーク」と契約した。2023年から30年間の契約費は、管理運営も含め632億5000万円。市などによると、2025年夏に着工し、30年春の整備完了を見込んでいる。



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