100年以上続く小諸市のモモの名産地で、後継者不足が深刻化しています。
これを解消しようと立ち上がったのは農家の息子の行政マン。
地域の飲食店も巻き込んで、初めてのイベントを開催に漕ぎつけました。


小諸駅前で8月末、市やJAなどがあるイベントを初めて開きました。

「目的は三岡のモモを食べてもらいたいから試食するっていう意味だから」
「モモのご試食いかがですか。甘くておいしい桃、むきたてですいかがですか」

小諸市にあるモモの名産地、三岡(みつおか)地域をPRするための販売会です。

地域では今、後継者不足が深刻化しています。


事務局を務める市・農林課の高地陽介(こうちようすけ)さん。

三岡のモモ農家に育ち、イベントにはひとかたならぬ思いがあります。

高地さん:
「どの程度売れるかですよね。一応280箱用意しているので。モモを食べてる姿が見られるようになるといいですよね。どこでも家庭だけじゃなくて」

記者:
「桃を入れる試みって」
料理店の担当者:
「人生で初です、初めて」

地域の飲食店も巻き込んで、あんな料理やこんな料理も登場!

三岡のモモを守る農家の息子の挑戦です!

明治時代にモモの栽培が本格的に始まった三岡地域。

全国屈指の晴天率と昼夜の寒暖差が生育に適しているといわれています。

市の職員の高地さんは8月末、最盛期を迎え、収穫作業に汗を流す農家を訪ねました。

祖父の代から続く畑だといいます。

高地(こうち)峻さん:
「(三岡のモモは)おいしい。やっぱ手をかけるところですかね」
高地さん:
「代々技術継承をしていただいているので、こういったおいしいモモが作れている」


三岡地域のモモ農家の数は減り続けていて、1990年の291戸から、2020年には71戸とおよそ4分の1になっています。

高地峻さん:
「農家の難しいところは気候に左右されちゃうので、そこに飛び込んでくる人たちが少ないかなと感じています」
「毎年安定的にこれだけできますということでもないですからね」



高地さん、今度はイベント用のモモを調達するため選果場を訪れました。

モモ農家の減少が故郷の景観にも影響を与えつつあることに危機感を覚えています。

高地さん:
「春先4月中旬からモモの花がきれいにピンク色に色づき始めて、今年もモモの収穫が始まるなっていうのが、徐々にそれが荒廃地に変わってきて、モモはどこでも作れるわけではないので、ちゃんと作れる場所を守っていく。守っていくために人を増やしていくという取り組みは必要だと思う」

これまで市では就農相談会などを開いてきましたが、なかなか成果はあがりませんでした。

今回のイベントの目的は三岡のモモのファンを増やすことです。

知名度が上がれば栽培をやってみたいと思う人も増えるのではないかと期待を寄せます。

ファンを増やすためにイベントに出店する飲食店に、モモを使った料理やドリンクを考案してもらうことにしました。

「めっちゃいいモモですよ」

出店者のひとり、市出身の山田祐太(やまだゆうた)さん。

東京や福岡のビストロなどで腕を磨き、今年6月に小諸駅前の商店街でカレー店を開きました。

高地さん:
「皮も一緒に入れる感じですか」
山田さん:
「皮の出汁というかエキスを抽出して、それを水がわりですよね」

出品するのは鶏もも肉とモモのカレーです。


ブレンドした10種類のスパイスをベースに、モモの果実をとろけるまで煮込み、味に深みを出しました。

具としても楽しめるように、最後に小鍋にモモを追加して、ひと煮立ちさせれば完成です。

山田さん:
「モモがおいしいから甘み塩みバランスを考えて組み立てているだけですね」
高地さん:
「すごい」
山田さん:
「モモのポテンシャルをただ使っているだけなので」

高地さん:
「おいしい。市内で活躍している飲食店さんがおすすめする食べ方。(モモが)いろんな食事のレパートリーに使えるというところをぜひPRしたいですね」

市の担当者:
「座って待っていただいた方2列で最初お願いします」



イベント当日、正午に販売が始まるやいなや、行列を作っていた客が次々にモモを購入していきます。


東御から:
「生産者も少ないと聞いてますので、少しでも応援できれば」
御代田から:
「うまいね三岡のモモは昔から有名だったから」

飲食店のコーナーも行列ができる人気ぶりです。

山田さん:
「なめてました。モモのパワーすごいですね。モモつくりたいという人が少しでも増えてもらえたらうれしいですね」

販売開始から30分ほどで用意した280箱およそ300キロは完売しました。


高地さん:
「予想以上に売れましたね。味のファンになってもらって、少しでもモモづくりに興味を持ってもらえる方が今後増えていけば本当にやったかいあったなと思います」

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