「止まれ」と書かれた一時停止の標識。街中でよく見かけますが、島根県出雲市には、この「止まれ」が縦に3つも設置された珍しい形の標識があります。なぜこんな形になったのでしょうか。

▼取材班が現場を確認してみるとー

清水栞太 記者
「ありました、一時停止の標識が3つ縦に並んでいますね」

こちら、赤い「止まれ」の標識が縦に3つも並んでいます。


そして、さらに反対側にももう1つ、一時停止を、これでもかというほどにアピールしています。

主張が強すぎるこちらの標識があるのは、島根県出雲市湖陵町。県道39号と出雲ロマン街道が交わる交差点に立てられています。

よく見てみると、1本の支柱に2つの標識がついていて、一番下の標識は置くタイプのものをくっつけて固定しています。
1つあれば十分な気もしますが、なぜこんなにも設置されているのでしょうか。道路管理者である島根県に話を聞くと…

▼道路管理者である島根県はー


出雲県土整備事務所 担当者
「今回取材があって、私は初めて認識しました。国土交通省さんが山陰道の工事をしていまして、その取り付け部ということで、県道も含めて一連の範囲を国土交通省さんが工事をしております」

実はここ、市が管理する道路と県が管理する道路の交差点なんですが、工事自体は国が行っています。

そして、最終的な標識の設置については警察が実施しているため、詳しい経緯については分からないということでしたが、気になる発言が…

出雲県土整備事務所 担当者
「一旦停止をしてきちんと渡らないといけないんですけど、かなり交通量があったりということで、近年ここで事故が増加していると聞いております」

実はここ、事故が多発している交差点。標識を設置した出雲警察署に確認してみると、こんなことが分かりました。

▼標識を設置した出雲警察署はー

清水栞太 記者
「この交差点ができた時点では、一番上の標識一つのみだったということですが、事故が多発したことを受け徐々に増設していったということです」

ガードレールを破って転落するような事故も起こるなど事故が相次いだことを受けて、標識の増設に加え、道路に色を塗ったり、脇の柵を見やすいものに変えたりと様々な対策を行ってきたということです。

しかし、道路も広く見通しも良いように見えるこの交差点でなぜ事故が絶えないのか?取材を進める中である可能性が見えてきました。

▼取材を進める中で見えてきたある可能性ー

清水栞太 記者
「その理由の1つが山陰道の工事です。現在はこのように平面の交差点になっていますが、以前は県道の上を市道が通る立体交差点となっていました」

もともと市道は今よりも高い位置にあり、2本の道路は交わらないようになっていたということですが、山陰道を作る工事の関係で市道の位置を変える必要があったため2年ほど前にこの交差点の形に。

佐田や多伎といった地区へのアクセスが良く、それなりの交通量がある出雲ロマン街道でしたが、今までなかったところに急に一時停止ポイントができたため、以前の道路に慣れていたドライバーが見落としてしまうといったケースが考えられています。

出雲県土整備事務所 担当者
「地元の自治会ですとか出雲市の交通安全対策協議会から、事故が多いので信号機を設置してほしいという要望が聞こえてきております」

信号機の設置について、この交差点は指標となる基準を満たしていますが、年度内には山陰道が開通する予定。そうなると今よりも交通量が少なくなることが見込まれ、基準を満たさなくなってしまうことなどから、信号機については検討中の段階です。

「止まれ」が3つも並ぶ珍標識にはドライバーが絶対に見落とさないようにとの強い思いが込められていました。

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