おいしいミカンをつくるための調節で捨てられる実がアロマオイルに生まれ変わりました。「もったいない」を減らしつつ、特産品の楽しみ方が広がりました。
浜松の特産「三ヶ日みかん」の畑には、緑色のミカンがたくさん落ちています。農家の人たちは「青ミカン」と呼んでいます。
<JAみっかび 成澤和久さん>
「多分もったいないく見えると思いますが」
おいしいミカンを作るため、実の数を調節する「摘果」です。捨てられてしまう青ミカンに目を付けたのが、浜松市でアロマオイルを製造・販売している平野友紀さんです。平野さんは、青ミカンを原料にしたアロマオイルを作りました。
<ル・シアージュ 平野友紀さん>
「捨てられる皮を有効活用することで生産者の力になれないか。生産者と消費者、それから、まち全体を香りでつなぎ、地域の新しい価値をつくりたいと思っている」
作業は、青ミカンの皮剥きから始まります。この皮からアロマオイルを抽出します。一滴を抽出するのに何百個もの皮が必要だといいます。
<ル・シアージュ 平野友紀さん>
「青々しくてフレッシュな爽やかな香り」
青ミカンのオイルをベースに、浜松市のホテルと協力して、オリジナルブレンドのアロマオイルを作りました。
<ル・シアージュ 平野友紀さん>
「お花の香りとハーブの香りと5種類が入っています」
<清水英之記者>
「香りの奥の方に青いミカンがあるんですけど、なにかスパイシーな」
<ル・シアージュ 平野友紀さん>
「ミカンの香りだけだと身近な香りになってしまうので、そこにハーブのスパイシーさを加えてホテルらしい高級感のある香りに仕上げた」
<清水英之記者>
「ホテルのロビーに入ってきました。確かに、かすかにいい香りがします。どちらから香っているのでしょうか?」
<フロント担当 鈴木真衣さん>
「こちら1階にあるアロマディフューザーから出ている」
浜松のホテルに滞在した思い出のひとつとして、ミカンの香りを記憶に留めてほしいと、2023年10月からこのサービスを始めました。
<ホテルの利用者>
「嫌味の無い感じの消臭剤とかには出ない、淡い、いい香りの柑橘系の匂いがする」
宿泊者からのリクエストが相次ぎ、販売も始めました。
<オークラアクトシティホテル浜松 糸正弘総支配人>
「SDGに対して非常に関心があって、できることをひとつひとつ積み重ねていこうという中に、ちょうど今回の話をいただいた」
2024年8月、ホテルの従業員が「三ヶ日みかん」の農園を訪れ、摘果の作業を体験をしました。
<オークラアクトシティホテル浜松 糸正弘総支配人>「おいしいミカンを作るためにはこうやって日々いろんな努力が必要なんだと、体験を通じて経験させていただいた」
<フロント担当 鈴木真衣さん>
「お客様から『この香り何ですか?』って聞かれる機会もあって。それで三ヶ日みかんを活用してSDGsの活動をしているというとお客さんも『え~そうなんだ』っていうように。浜松の魅力を伝える事にもつながる」
浜松市の「三ヶ日みかん」は、味わうだけでなく、香りでも楽しむという新しい特産品に進化しました。
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