7日から仙台では、定禅寺ストリートジャズフェスティバルが始まりました。ジャズフェスにも出演する仙台出身のサックス奏者の男性に注目します。アメリカで腕を磨き地元に戻ってきた男性は「ジャズ」で街を盛り上げようと奮闘しています。

サックスをはじめたきっかけは…

自然と体が揺れるリズムと耳を奪われるアドリブ。7月、仙台でプロの演奏家による無料の「ジャズライブ」が開かれました。迫力あるバンドスタイルやジャズでは珍しいピアノの連弾など多彩な演奏が披露されました。

企画したのは、仙台市出身のサックス奏者・熊谷駿さん(32)です。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「ジャズっていろんな見せ方があるというのを作りたかった。連弾のように普段はクラシックでしか見られない企画も、ジャズにすれば柔軟に新しい形をつくることができる」

小学生からブラスバンドに入り音楽に親しんできた熊谷さん。サックスを始めたのは意外なきっかけでした。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「小学校5年生の時に父が突然(サックス)買ってきたところからスタートした。その頃の感想としては、あまりやりたいと思うほどのものではなかったけど、音が鳴るのが楽しいなと」

転機はテレビでみた♪セプテンバー

中学3年生のとき大きな転機が訪れます。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「受験勉強がすごく苦痛だった。そのとき偶然テレビでサックスを演奏しているのを夜中に見て、なんか自分の中で心がスカッとしたというか。サックスプレイヤーになりたいなと初めてビビッときた。アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『セプテンバー』。ビッグバンドというジャズの形態での演奏を聴いた」

進学したのは音楽科のある学校ではなく、5年制の仙台高専。実は、熊谷さん。部活で柔道にも力を入れていて、高校時代は「二刀流」で過ごしました。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「部活は部活で終わった後に長町の(サックスの)練習室まで自転車で行って、夜2時間レッスンして家に帰るというサイクルで」

卒業後、神戸の音楽専門学校で学び2014年、22歳のときにジャズの本場アメリカへ。名門「バークリー音楽大学」に入学します。

アメリカで衝撃を受けた「アドリブ」

サックス奏者 熊谷駿さん:
「ジャズは即興演奏、アドリブの部分があるが、アドリブが凄いプレイヤーがいてアメリカならではのグルーヴというか。これどんなにやっても(自分は)こうならないよなというのを目の当たりにすることが多かった」

アメリカで衝撃を受けた「アドリブ」。熊谷さんは、特にアメリカの名プレイヤーチャーリー・パーカーが生み出した「ビバップ」というスタイルに磨きをかけました。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「速いフレーズとかも入れられるビバップの凸凹感というか。(自分の)色が出るし速い中でどれだけ難しいことが出来るかみたいな。挑戦できる部分がビバップなので面白い」

留学中、日米の首脳らが集まる式典での演奏や世界的ベーシストとも共演を果たしました。その活躍は地元にも伝わり2018年には「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」に初出演しました。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「記憶がないぐらい緊張していて、初めて何千人という前での演奏だったので」

ジャズで盛り上げたい

2019年、27歳で仙台に戻った熊谷さん。ずっと抱えていた思いがありました。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「東日本大震災が起きたとき、高専で次5年生になる年で、その翌年から神戸にいった。プロになりたいと練習もしていて、できることっていろいろあったと思う。でも結局何もできずに、地元に戻ってきてジャズで盛り上げたいというのが凄く強かった」

ライブやイベントなどへの出演を重ねる中で、「ジャズを親しみやすいものにしたい」という思いが湧きあがります。

サックス奏者 熊谷駿さん:
「マニアックな音楽じゃないのに、ちょっと興味のある人が足を運びづらい。ジャズフェスはものすごく大切な存在であって、年1回、2日間ジャズの街になるというものだがそれが終ってしまってしまうと、仙台とジャズ何か関連するものがあるかというとなくなってしまう」

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