今回の特集は茅野市のものづくり企業が作るフィルターに注目します。
開発した企業によりますと、細菌などを除去でき、災害時やアウトドアでも役立つということなんですが、そのフィルターの秘密を取材しました。
茅野市にある「キッツマイクロフィルター」。
岡田浩開発技術部長:
「キッツマイクロフィルターでは、こういうフィルターを作っております。独自に開発した中空糸膜を搭載した精密フィルターでございます」
中と空と糸で「中空糸(ちゅうくうし)」。
その名の通り、糸のまん中は空洞でストロー状になっている上、表面にも細い穴が開いているんです。
糸を束にしてフィルターにしますが、キッツマイクロフィルターではこの糸から製造しています。
古畑キャスター:
「着替えましたが、これから何を?」
加藤岳志専務:
「こちらが樹脂を溶かして成形している中空糸を作る工場になります。弊社のものづくりの中では一番重要な工程になります」
白い粉状のものが原料となる「樹脂」。
熱を加えて溶かした後、進んでいった先にある部分は企業秘密!
でもちょっとだけ構造を説明すると…。
加熱した樹脂にエアーを送り、この段階で空洞を作っていきます。
冷却すると糸になって出てきますが、すでにストロー状で、表面に微細な穴が無数に開いている「多孔体(たこうたい)」になっています。
古畑キャスター:
「穴が全然わからない、どのくらいの太さなんですか?」
加藤岳志専務:
「これは0.8ミリくらい、シャープペンシルの芯より少し太いくらいですね」
この後、油分を取り除いて、引っ張って伸ばせば、立派な「中空糸」の出来上がり。
2000メートルもの長さをループさせ、ふさふさした束をぎゅっとまとめて筒に入れて整えたものが基本のフィルターとなり、さらに何度も何度も洗浄して乾燥させたら完成です。
長いものでは洗浄に1週間も時間をかけ、クリーン度を最大限に上げたキッツマイクロフィルターの製品。
一般的なフィルターは、活性炭を利用したもので、主にカルキ臭や有機物を取り除きますが、中空糸膜は水の濁りや細菌、ウイルスを除去します。
さらに、樹脂を使った構造は、自在にコントロールすることが可能で、幅広い分野に応用することができるのです。
岡田浩開発技術部長:
「こちらにございます白いフィルターは、半導体業界で高純度な薬品をろ過するためのナノレベルにろ過できるフィルターです。となりの小さなフィルターは、エア用、圧縮空気をろ過するためのフィルター。端にあるのはエアーではなく水用で、医療用の洗浄液をろ過するフィルター。主に当社の方では台所の上に置く据え置き型の浄水器をPRしているところでございます」
ということで台所用の浄水器を組み立てるラインを見てみると…
古畑キャスター:
「こちらが中空糸膜を使った浄水器の製造ラインになるんですが、なんと一つあたり1分44秒で作っているということなんです」
完成まですべて1人で担当するため、効率を考え作業場はいわゆるU字ライン。
向かって右からぐるっと回って、手前で完成。
その時間、1分44秒という速さ!
手作業が基本ですが、機械が導入されているラインもあり効率化も進んでいます。
ではここで出来上がった中空糸膜フィルターを搭載した浄水器の威力をご覧いただきましょう!
加藤岳志専務:
「こちらがさきほどのラインで作った洗浄機なんですが、こちらの水槽には水道水が入っています。そこに青い墨汁を入れます。そのままでは飲めませんが、この浄水器を使って飲める水に復活する」
蛇口をひねると・・・確かに透明の水が出てきました!
古畑キャスター:
「普通においしい水です!びっくり」
加藤岳志専務:
「悪い有害なものが取れてミネラルだけ残してますから、普通の水道の水よりおいしいと思います」
私たちの暮らしに欠かせない水。
この企業では今後も、幅広い分野での浄水の技術・開発を進めていくとしています。
加藤岳志専務:
「家庭用浄水器はもちろんですが非常用・災害用のもののラインナップを増やして地域の皆さんに役立てるようなそういう企業になりたい」
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