水浸しの床下、柱と繋がっていない梁。後をたたない「欠陥住宅」のトラブル。
民間団体の調査によると、住宅の新築やリフォームをめぐるトラブルの相談件数は、2022年には3万5772件。2000年と比べ、7倍あまりに増えています。
今回は、新築なのに「カビ」が発生してしまう住宅を取材。専門家と共に原因を究明し、欠陥住宅の実態を追いました。
完成してすぐの住宅の外壁に“黒いカビ”が…問題は建物内部にも。
三重県に住む鈴木さん(仮名)の事務所兼自宅は、4LDKの一戸建て。4年前に完成し、家族6人で暮らしています。
異変に気付いたのは、完成してすぐ。できて間もない外壁に、黒いシミが浮かび上がってきました。
数か月で壁一面にカビ 業者とは連絡が取れなくなる…
(鈴木さん【仮名】)
「全部カビです。年々ひどくなってきている」
施工業者は、カビではなく単なる汚れだと説明。しかし、数か月で壁一面に広がっていったそうです。さらに、完成していない基礎部分があり、中にどんどん水が入ってくる状態です。
問題は、建物内部にも。子ども部屋のベッドには、一面にカビらしきものが発生。今は、部屋を使っていません。
カビとしか思えないと業者に苦情を言うと、連絡が取れなくなったそうです。
“住宅Gメン“が欠陥住宅を調査 原因は空調システム
原因を探るため、“住宅Gメン”と呼ばれる「住宅検査カノム」の長井良至さんに相談しました。長井さんは、1級建築士で、施工不良が疑われる住宅の原因究明や業者との交渉が仕事です。
鈴木さんが、エアコンが全く効かないこと、カビがひどいことを伝えると…
(長井良至1級建築士)
「全館空調の換気システムに、原因があると思っています」
長井さん、まずは床下へ。原因の多くは普段見えない場所に隠れているそうです。
床下の湿度は81%。屋内の適正湿度は40~60%で、鈴木さん宅の80%は雨降りの屋外並みです。この日は晴れでしたが、梅雨時には湿度97%に達することもあるのだとか。
床下には、高い湿気が原因と見られる一面のカビが。木材に一度根付くと、完全に取り除くのは困難です。
次に、コンセントのカバーを外し、壁の中に小型カメラを入れました。
壁やエアコンの中も“カビ”
映像を見ると、壁の中もカビだらけ。
さらに、エアコンの中にもカビが発生していました。
壁の水分量を示す「含水率」を調べると、通常なら0のはずが、鈴木さん宅は1.48%。「壁が湿っている状態」です。
鈴木さん宅の空調システムは、たくさんの換気扇をつけて、床下の温度の低い空気を吸い上げています。その空気を出して、湿度や温度を調整します。ところが、調べてみると、ほとんど空気が出ていない状態でした。
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