6日も全国各地で猛暑日を記録。厳しい暑さの影響で、夏の光景も変化しているようです。今では当たり前の「日傘男子」ですが、30年前はどんな対策をしていたのでしょうか?

■涼しさどこへ? 予報士「あと1か月ほど暑さ続く」

加藤シルビアキャスター:
9月6日も全国的に厳しい暑さとなりました。猛暑日となったのは全国で39地点で、真夏日となったのは564地点でした。

いつまで暑いのか、森田正光気象予報士によると「9月に猛暑日になることは珍しくありません。あと1か月ほど暑さは続きそう」ということでした。

■時代で変わる“夏の光景” 厳しい暑さで異変続々と…

日本の暑さはどのように変化してきたのでしょうか。

1955年8月の「暑さのニュース」、エアコンがない時代だったので、公園の木陰で涼むのがこの頃の暑さをしのぐ定番のスタイルだったようです。

さらに、汗が滴る暑さの中で、男性たちがベストやジャケットを重ね着する映像もありました。これは酷暑を乗り切るための修行だったそうです。8月の猛暑の中、冬服姿で焚き火にあたるというイベント。今では考えられない昭和の暑さ我慢大会だということです。

1950年代の「暑さニュース」について森田気象予報士は、「昔もまれに35℃以上になることはあった。ただ、今みたいに猛暑日が“普通”ということはない」としています。

「暑さのニュース」にはだんだんと深刻な話題も増えていきます。

1987年7月、この日の関東は記録的な暑さになり、一斉にクーラーなどを使ったため首都圏の送電設備がダウンしました。国会でも答弁中に委員会室が暗くなるなど、1都4県280万世帯が停電する事態となりました。

1994年は雨が少なかった上に記録的な猛暑が重なって、全国各地で水不足となりました。生活に使う水にも制限がかかるような水不足の実態があったということです。

2010年は6月~8月の平均気温が、当時としては最も高い1年となりました。熱中症による死亡者数は1718人と急増。その前の年が8人だったので、いかに増えたかというのがよくわかります。

だんだんと暑さの深刻度合いが増してきています。

■暑さで何が変わった?10年前と比較してみると…

暑さで何が変わったのか、2024年と10年前で比較してみます。

▼年間の猛暑日数(東京)
10年前 5日→2024年 19日

▼熱中症の搬送人数(全国)
10年前 約4万人→2024年 約8万3000人(9月1日時点)

▼公立小学校の空調設置率(全国・普通教室)
10年前 35.8%→2024年 95%(2022年9月時点)

またテレビの現場でも、帽子や日傘などを使って中継をすることが当たり前となりました。

日比麻音子キャスター:
もう今や“地球沸騰化”ともいわれていますが、暑さは日本だけの問題ではなくグローバルな問題でもあって、何年もかけて、もっと真剣に向き合わなければいけない気候変動の問題だなと思います。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
間違いなく気候変動の影響が出てきていると思います。

例えば、日本だと台風などで河川が氾濫したり死者が出たりして、目に見えてわかりやすい影響が出ると思いますが、暑さは気候変動としても実感しにくく問題になりにくい課題です。

しかし、熱中症で多くの人が亡くなっていますし、それ以外にも、暑くて働けないなど、生産性が下がるという影響もあります。また、鬱になるという研究もあったりします。

例えばアメリカ・フロリダ州マイアミやギリシャ・アテネなどでは、熱波に対抗するための「最高熱波責任者」という行政の責任者を設置して、地域の暑さ対策をどうするかを考えたりしています。そういうものを日本も考えても良いところに来ているのではないかと思います。

日比キャスター:
「暑さが怖い」と思うようになったことも大きな変化なのかなと思いますね。

========
<プロフィール>
斎藤幸平さん
東京大学 准教授 専門は経済思想・社会思想
著書『人新世の「資本論」』50万部突破

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。